2024年の春は暖かかった冬の割に桜の開花が遅く、4月6日と7日の土日が桜のビークだった。

暖かい日が増えると、スパークリングがよりおいしくなり、春の到来を祝ってシャンパーニュを開けたくなる。


シャンパーニュも他の酒同様に価格の高騰が進み、大手メゾンのエントリーキュヴェで1.5倍くらいの価格になっている。

一時期、1.5万くらいで買えたプレステージュキュヴェもかなり上がった。

一度に飲みきる酒なので割高に感じる向きもあるだろうが、得られる満足度を考えたら安すぎる。

個人的にはそう思っていた。

なので価格高騰は理解はするが、ダメージは大きい。


このドゥラモットのブリュットも、セール時を狙えば税込でも3,000円台で買えた。

そのため、ハウスシャンパーニュ的に使っていたが、今や1.5倍はするため買わなくなった。

しかしシャンパーニュのセラーを整理していたら、ブリュットが1本出てきた。

おそらく安かったときに買った最後の1本だろう。

泡が飲みたかったので、久しぶりに開けてみようと手に取った。


ドゥラモットは、コート・デ・ブランのル・メニル・シュール・オジェに拠点を置く、シャンパーニュメゾンだ。

同時期にローラン・ペリエに買収され、オフィスを共有する縁で、孤高のブラン・ド・ブランを生み出す『サロン』の姉妹メゾンとされる。


サロンは最上のシャルドネが収穫された年にしか作られないため、作られなかった年のブドウはドゥラモットにまわる。

その触れ込みによるブランド戦略が奏功していて、よく見かける印象がある。

ブリュットも安い割には上手にブレンドされていて、さすがにシャルドネの使い方がうまいと思う。


久しぶりに飲んだので、テイスティングノートを記載する。

なお輸入元はラックコーポレーション、グラスはリーデル ヴェリタス シャンパーニュとザルトのユニバーサルを使用した。


【テイスティング】

泡は繊細で落ち着いていて、熟したホワイトグレープフルーツ、その皮の苦味、焼いたブリオッシュ、酸味の強い青リンゴ。

ほんのりと硫黄、酵母感、溶かしたバターや樹脂っぽさ、熟したネーブルオレンジの粘性。

石灰っぽいミネラル、ほんのり黄色いトロピカルな果実味、チーズやホエー。


シャンパーニュの魅力にあふれたエントリーキュヴェ。

その魅力とはすなわち、瓶内二次発酵による繊細な泡立ちとブリオッシュの香り。

そして独特なミネラル感と、アサンブラージュ(ブレンド)の妙だろう。


ル・メニル・シュール・オジェのメゾンで、サロンの姉妹メゾンだが、このキュヴェはドゥラモットで唯一ムニエを使う。

アイデンティティー的にドゥラモットを名乗る意味があるのか、といわれれば確かにそうかもしれない。

しかしシャルドネを中心とした、アサンブラージュの妙が感じられて、エントリーキュヴェとしては秀逸。

ただ、今の価格だと気軽に飲めないし、ハードルも上がってくる。

せめて5,000円を切ってもらえるといいのだが、難しいのだろうか。


よくいろんな店で使われているシャンパーニュで、飲む機会も多いドゥラモットのエントリーキュヴェ。

それにはそれなりに理由があると感じるボトルだった。


【Verygood!】