ブルゴーニュは南北に長く、4つの県にまたがる広域な地域のAOCだ。
最北端のシャブリから最南端のボジョレーまで、約280kmにもわたり、おおよそ東京駅から福島駅までの距離に匹敵する。
コート・ドールと呼ばれる銘醸中心地も、北のコート・ド・ニュイと、南のコート・ド・ボーヌに別れる。
両地区をつなぐコート・ド・ボーヌの最北に位置するのが、コート・ド・ボーヌ唯一のグラン・クリュ(特級畑)を擁するコルトンの丘だ。
コルトンの丘は三つの村にまたがっていて、一つがアロース・コルトン、二つ目がラドワ・セリニィ、そして三つ目がペルナン・ヴェルジュレスだ。
ペルナン・ヴェルジュレスは、コルトンの丘の西向きの斜面を有している。
赤はコルトン、白はコルトン・シャルルマーニュというグラン・クリュを生み出す。
しかし、村名ワインはコート・ド・ニュイに比べたらかなりリーズナブルで、このワインも税前4,500円くらいで買った。
ドメーヌ・パヴロは、そのペルナン・ヴェルジュレスに拠点を置く家族経営の老舗ドメーヌだという。
いち早く1993年には畑をビオロジック栽培に切り替え、馬による耕作を行い土壌を大事にしている。
また醸造においては100%除梗し、野生酵母を使って亜硫酸の使用も極力控える。
そうして土壌の力を活かした、テロワールを反映させたピュアな果実味のワインが出来上がる。
このドメーヌは、私が懇意にしているコンサルタントが入れているものだ。
その方のポリシーは、その地域の最良級と考える生産者を扱うという事で、よくその話を聞く。
ペルナン・ヴェルジュレスならここ、という事らしく、私が好きなのもありグラン・クリュのコルトン・シャルルマーニュを取ってもらった。
その時に村名ペルナン・ヴェルジュレスの赤白も一緒に購入した。
前述した通り、今となってはかなり安かった。
今やドメーヌものだと広域ブルゴーニュでもそれ以上はするが、わずか数年での価格の変動の大きさに改めて驚かされる。
個人的にはコート・ド・ボーヌのピノ・ノワールは、コート・ド・ニュイと比べるとパワーはあるがエレガントさでは譲るイメージがある。
タニックで熟成を必要とするワインが多い。
このワインも赤は2本目だが、届いてすぐに開けた1本目はそういうイメージだった。
少し間を置いてセラーリングしたものを改めてテイスティングしてみた。
なおヴィンテージは2018、輸入元は大雅。
グラスはリーデル ソムリエ グラン・クリュ バーガンディーを使用した。
【テイスティング】
アメリカンチェリー、レーズン、ドライローズ、巨峰のような黒ブドウの皮。
丸みはあるがしっかりめのタンニン、なめし革、タバコの葉、焼いた樽。
ブラックペッパー様のスパイス、酸味のあるブラックベリー、グリセリン、ほんのり獣臭。
製造の売りを見ると、ナチュール的なニュアンスが強いかと思ったが、それは感じられない。
少しだけ熟成したサンジョベーゼのようなニュアンスがあり、果実感は黒でドライフルーツ感も強い。
果実味は十分にあるのだが、エレガントという印象は少ない。
ブラインドで飲んだら悩んで、ドライローズっぽさからイタリアのワインと答えるかもしれない。
ソムリエのブルゴーニュ グラン・クリュは、バリューパックで2脚本入りがかなり安かったので購入し、久しぶりに使った。
容量が大きいため、固めのワインにはいいし、香りが分離して上がってくるため拾いやすい。
ただ、家でのテイスティングは定点で見るという意味で、半分はいつものヴィノムのブルゴーニュで飲めば良かった。
まあかなり本数はあるので、次はもう少しセラーリングをしてから飲もうと思う。
コート・ド・ニュイのピノ・ノワールが高等著しいが、コート・ド・ボーヌのピノ・ノワールは比較的価格が抑えられている。
コート・ド・ニュイのACブルより、別の地域感は強いが、違う魅力がある。
そう改めて感じさせる、ペルナン・ヴェルジュレスのピノ・ノワールだ。
【Verygood!!】