家で開栓済みのボトルのラストドラム。

今回はこのゴードン&マクファイルのカリラだ。


カリラはヘビーピート(泥炭で強く燻した)のウイスキーを生み出す、スコットランドはアイラ島の北部にある。

お隣のジュラ島との間を流れる、アイラ海峡Caol Ilaがそのまま蒸溜所名となっている。

1846年創業で、大手のディアジオ系列の蒸溜所で、前身のDCLの傘下となり100年近くが経つ。


重厚なアイラ南部のウイスキーと比べるとライトな酒質だといわれ、比較的熱烈なファンが少ないイメージがある。

アードベッグ、ラフロイグ、ボウモア、ラガヴーリンは熱烈な支持者が多いが、失礼ながら『カリラが一番好き』という人はあまり見かけない。


しかし、どの年代でもクオリティが高い安心感があり、熟成が短くてもいい仕上がりのものが多い。

このボトルもそうだが、2000年代頭の蒸溜のゴードン&マクファイル(G&M)のカリラはいい、と一時話題になった。

シェリーカスクのものが多く、熟成が10年強で1万円ちょっとだったため、私も好きで家飲み用に結構買った。


そのうちの1本が、この信濃屋向けの2005ヴィンテージのリザーブラベルだ。

蒸溜が2005年2月21日、瓶詰が2016年2月なので、ほぼ11年熟成だが熟成年表記はない。

カスクNo.301493のリフィル・シェリー・ホグスヘッド樽から、アルコール度数56.8%で272本ボトリングされている。


10年強の熟成の割りに仕上がりがいいシェリーのアイラで、うまいのだが家ではなかなか減らなかった。

最初にこのblogに掲載しているのが2018年5月10日なので、約5年11ヶ月で飲みきりとなった。

そのラストドラムのテイスティングを記録する。




【テイスティング】

グラッシーで少しラムっぽい、青みのあるパイナップル、甘味のあるミルクチョコレート、酸味のあるオレンジ系のフルーツ。

焼いた籾殻のようにキメ細かいがしっかりとスモーキー、鰹出汁、ミルキーなコク、モカのようなニュアンス。

和三盆、海面に反射する日の光、メロウでフルーティー、ほんのりゴム風船。

余韻には柑橘フルーツとカカオパウダー。


裏ラベルの公式テイスティングにも青リンゴやキウイとあるが、少し緑系のニュアンスを伴う。

あとは甘味のあるチョコレート感が支配的で、オレンジ系の柑橘フルーツとミルキー感のあるバランスのいいカリラ。




高いアルコール度数のお陰か、6年近い歳月が経ってもへたれた感じは薄い。

1万ちょいでこれなら家飲みには十分だと思っていたが、その感覚は今も変わらない。

しかしこのボトルでなければダメ、というわけではないし、カリラは今もリリースが多い。

価格的にもそれほど上がっていないし、アイラモルトを1本家で試したい方には、お薦めできる蒸溜所だと思う。


10年前後の熟成の時には他の蒸溜所より仕上がりが早く、ついにカリラの時代が来たのか!?と思う。

だが、熟成が伸びてくると次々に他の蒸溜所に抜かれていくのも、もはやお約束ではないだろうか。

長熟するとライトなボディが気になってくるが、独特のフルーツ感が出る。

コアなファンからはやや軽くみられがちだが、個性的で愛すべきアイラモルト。


このカリラもそんな1本で、長らく楽しませてもらった。

シェリー、G&M、2005と3つ揃うとかなり当たりのスペックだと思うが、頑張って高値で買わなくていいし、転売にも縁がないだろう。

そんなところもカリラらしくて、素敵だと思うグッドボトルだった。


【Verygood!!】