もうすぐ2月14日の聖バレンタイン・デーだ。
愛の守護聖人である聖バレンタインの命日で、ローマ帝国では家族と結婚の女神、ユーノを祝う日だったのが起源とされているらしい。
その日に家族や恋人にプレゼントを贈るという習慣があったそうだが、そのイベントは日本で独自の発展を遂げた。
『女性が男性にチョコレートを添えて愛の告白をする日』という形でひろまり、年間消費量の20%にもあたるチョコレートが消費されるという。
小学校の高学年から高校生の間で、1970年代から広まったのがきっかけらしい。
起源は諸説あるようだが、チョコレートを贈るという点については、製菓会社のプロモーションが成功したのは事実だろう。
そんなバレンタインデーに活躍するのが、ラベルにハートがあしらわれたワイン、カロン・セギュールだという。
カロン・セギュールはフランスはボルドーのサン・テステフにあるシャトーだ。
よく知られる五大シャトーを擁する格付けのあるメドック地区の生産者で、カロン・セギュールも三級に格付けされている。
しかし、格付以上に人気も実力もあるシャトーで、今や価格も1本2万円では買えない。
もし、バレンタインデーにカロン・セギュールをもらった人がいたなら、お返しには相当気を遣った方がいいだろう。
しかしボルドーでは、トップキュヴェ以外に少し格の落ちるセカンドラベル、サードラベルというのを生産するシャトーも多い。
カロン・セギュールも例外ではなく、しかも今やセカンドやサードでも、ラベルにハートがあしらわれている。
ちなみに、ハートマークは『我ラフィットやラトゥールをつくりしが、我が心はカロンにあり』という、18世紀のオーナーであるセギュール侯爵の言葉に由来するという。
このエピソードは、ワイン好きにはあまりにも有名だ。
カロン・セギュールは私も好きなシャトーの一つだが、高額になり今やなかなか買えない。
どうせなかなか買えないなら、同じサン・テステフだとお気に入りのコス・デストゥルネルを優先してしまいがちだ。
そのため、気軽に楽しむのはもっぱらセカンドラベルのマルキ・ド・カロン・セギュールとなっている。
マルキ・ド・カロン・セギュールは味もいいし、価格もうまく買うと税前4,000円以下で買える。
サードであるル・セー・ド・カロン・セギュールとの価格差を考えると、断然セカンドがいい。
最近では、2018というボルドーのビッグヴィンテージのものを気に入り、何本も家で楽しんだ。
そして同じくビッグヴィンテージと言われる2019を飲んだ時、2018の方が好きだなと思った。
そこで、比較的安い値段で残っている店で、3本残っていた在庫をまとめ買いした。
そのうちの1本を開栓し、テイスティングしてみた。
なお、輸入元は未来堂、使用したグラスはシュトルツルラウジッツのギブリ、ボルドー22ozを使用した。
【テイスティング】
しっかりめのタンニン、カシスやプラム、焼いた樽のニュアンス、黒糖や甘納豆系の甘味。
鞣したレザー、スミレの花、バニラ、クローブのようなスパイス。
ミルクチョコレート、生っぽいタバコの葉、黒い土、ブラックベリー、プルーンなどのドライフルーツ。
以前飲んでいたものとは輸入元が違うためか、少し記憶の中より甘味が強いが、クオリティの高いボルトー。
セパージュはメルロ53%、カベルネ・ソーヴィニヨンが47%との事。
メルロの比率が高いため早飲みができ、チョコレートっぽいニュアンスが強めに出ている。
4,000円前後で買えるボルドーとしては申し分ないし、誰が飲んでもおいしいフルボディの赤。
しかし、今や値段が上がり、ネットショップにあるものを見ると、4,000円台で買えるものはなくなっている。
6,000円近く出すなら違うワインが買えるため、そうなると少し評価は変わるだろうか。
ちなみに、ワインもウイスキーと同じで、同じ輸入元の同じ商品でも、店によって値段が違う。
さらにウイスキーと違い、同じワインもいろんな会社が輸入している。
そのためどこが輸入しているかで、品質が変わるのでインポーターは重要だ。
ものによっては、英国廻りが中身もいいという話を聞くし、実際英国の老舗ワイン商ベリー・ブラザーズ&ラッド(BBR)が入れたボルドーは、シャトーからの蔵出し品でクオリティが高い。
なのでお気に入りのものは、同じ輸入元のワインを買うと比較的再現性が担保されやすい。
前買った店のをもっと買うべきだったと思うが、それは今後に活かそう。
しかし、このヴィンテージのマルキ・ド・カロン・セギュールは素晴らしい。
このヴィンテージなら、サードワインを試してもいいかと思える、お気に入りヴィンテージのワインだ。
【Verygood!!!】