スプリングバンクの2023年秋のテイスティングパック。
6種類のウイスキーが20mlずつ入っているが、今まで2本ずつ飲み、計4種をこのブログに掲載してきた。
最後の2本を飲んだので、そのインプレッションを掲載する。



◼️スブリングバンク 18年 2023ボトリング 46%


一見すると何の違いもないようにみえるが、毎年熟成に使われた樽の比率が変わる、スプリングバンクの18年。

ラベルにはその記載がないが、裏に小さな黒い文字が印字されてボトリング年がわかる。

それがわかれば、使われている樽の比率をつきとめることが出きるのだが、見づらい上に文字は消える事もある。

せめて裏ラベルでいいから、ボトリング年が印字してあるとありがたいのだが。


話を戻すが、この2023年はシェリー樽65%、バーボン樽20%、ラム樽15%という比率らしい。

このサンプルを飲んだので、インプレッションを記載する。


【インプレッション】

餡やチョコレートの甘味、少しミーティーなニュアンス、茹でた小豆の皮、ほんのり潮の香り。

麦の厚み、レモンの皮の苦味、甘口シェリー、バニラの甘味。

辛み大根のようなスパイス感、コーヒーの苦味、デメララシュガー、ドライな余韻。


65%を占めるシェリーのニュアンスが、トップには強めに表れリッチな甘さがある。

磯感が強い90年代以降蒸溜と違い、クラシカルなシェリーのスプリングバンクの要素がある。

だが、アフターに苦味やエグミのようなオフフレーバーも存在している。


これと合わせて、自宅で開いている2018年詰のバーボン樽100%の18年も飲んでみた。

そちらはきれいなつくりで、しかも開けてから結構経つため、比較すると完成度は2018詰の方が高い。


しかし、2023年詰めは雑味がある分、時間経過による変化の巾はあるのかもしれない。

個人的には抜けづらそうなオフフレーバーだと思うが、時間経過でどう変わるのだろうか。

もし定価で買えるなら買って、相当期間瓶熟させてから開けてみたい。


【Good/Verygood!!!!】




◼️ヘーゼルバーン 15年 オロロソカスク 55.8%


3回蒸溜でノンピートのスプリングバンク蒸溜所でつくる第三のモルト。

生産量は3種のうち一番少なく、一番特徴がみえづらい印象がある。

しかし、最近はシェリー樽のものでいいものが増えている。

これもそんなシェリー樽熟成で、オロロソカスク熟成のカスクストレングスだ。



【インプレッション】

甘い黒糖、シロップ、レーズン入りのマーラーカオ、巨峰のようなブドウ。

クレームブリュレ、美しいウッディネス、エスプレッソの苦味、ブリニーさや磯感はかなり薄い。

ラムやコニャックのようなニュアンスがあり、ほんのりランシオ。

厚みや複雑さというより、クリアな酒質にシェリーの強い影響がきれいに出ている。


スプリングバンク蒸溜所のウイスキーらしさはそんなに強くない。

スプリングバンクが得意でない人にも刺さりそう。

ヘーゼルバーンの15年のシェリーはかなりいい印象があるが、これもまた秀逸なボトルだ。


【Verygood!!】




スプリングバンクは、熟成が短くてもいいシェリー樽だと考えるものは、他の樽を混ぜずに出してくる。
今回のパックでは、スプリングバンク10年パロコルタドと、ヘーゼルバーン15年オロロソがそれにあたる。

そうやって出されたものと、スタンダードで他の樽と混ぜて出してくるものはクオリティが結構違う。
また、樽の種類がかかれているものはカスクストレングス(加水しない樽出しのアルコール度数)であることがほとんどだ。
奇しくもこの18年46%とヘーゼルバーン・オロロソの組合わせは、それが如実にわかるといえる。

ただそれは単純に優劣ではなく、混ぜて加水することで花開く樽もあるだろうし、以前よりカスクマネージメントがしっかりしてきたとみるべきだろう。

今回のテイスティングパックを飲んだ印象だが、多彩な香味を付加しようとするスプリングバンク。
逆にストレートにピーティーでブリニーさ押し出したロングロウという、方向性の違う21年が安定していた。
年によって味わいも違うため、飲むのが楽しみだし、カスクストレングスの2本も面白い仕上がりだった。
オフィシャルボトルでも多彩で、飽きさせない工夫が素晴らしい。

最後になるが、オフィシャルのテイスティングノートに、Colaという語句が6本中4本にあった。
あまりウイスキーテイスティングで使われるのを見た事がなく、かつ使い分けてるのが面白いと思う。

抽選にはなってしまうが、また次のパックも飲んでみたいと思う素晴らしい企画だ。