スプリングバンク・ソサエティの2023年秋のテイスティング・パックに入っていたウイスキー試飲の第二弾。
容量が20mlなのですぐに飲みきってしまい、じっくりとテイスティングはできないが、このパックは相当楽しい。
試飲して気に入ってから買えるように、という意図があるのだろうが、人気のため今やなかなか買えない。
なので、せめて30ml入っているといいなあ。。。と思う。
30mlなら15mlずつに分けても飲めて、テイスティングを平準化できる。
しかし20mlだとグラスに全て注ぎ、一度に飲んでいる。
それゆえ、そのウイスキーの全体像を捉えられているとは言いがたい。
しかし、飲んだその量、その時点での印象を記録するのは意味があるし、自分の見識につながる。
Barなどで時間を経て改めて飲んでみると、記憶と違う事もよくある。
だが、そのとき考えた仮説は、飲んだことがない次のボトルを買う際、目論見を立てるのに使える。
だから同じボトルを何回も飲むし、Barで勧められたらよほど直近に飲んだものや超高額でない限り、飲むようにしている。
話がそれたが今回の2本は、ブレンデットモルトであるキャンベルタウンロッホの2023年ボトリング、それに例によって瞬殺されたスプリングバンクの10年パロコルタドシェリーだ。
両方とも買わない、買えないラインのウイスキーで、こういうパックに入っているとありがたい。
飲んだそのインプレッションを記載する。
◼️キャンベルタウンロッホ 2023
5つのキャンベルタウンモルトのブレンドで、バーボン樽とシェリー樽で熟成された原酒が使われているらしい。
5つはスプリングバンク、ロングロウ、ヘーゼルバーン、キルケラン。
それにグレンスコシアだろう。
以前は、グレーンも入ったブレンデットウイスキーで、フランク・マッカーディーが納得いくブレンドができた時のみつくられる。
そんな触れ込みだった気がする。
エイジング表記がある商品があり、21年や30年など長めの熟成表記だった。
しかし、2021年瓶詰からは今の仕様の、ノンエージのブレンデットモルトになっているようだ。
エイジングを入れないため、多様な原酒が使えるし、キャンベルタウンモルトだけなので地域性も出る。
個人的には非常にいい仕様変更だと思う。
ちなみに、有楽町にあるキャンベルタウンロッホというウイスキーBarは、このウイスキーから名前をとっているわけではない。
たまに、ウイスキーの名前から取ったんですか?と質問している人を見かける。
しかし、店名はスコットランドのキャンベルタウンロッホ、という民謡からとっているそうだ。
スコットランドのパブソングの定番で、もしも湾の水がウイスキーなら喜んで飲み干すだろう、という愉快な歌だ。
2回だけ、3人ぐらいで来ていた外国人がその歌を合唱している場面に遭遇したことがあり、マスターは嬉しそうに聞いていた。
ちなみに、Barの開店は1999年7月で、ウイスキーのキャンベルタウンロッホの初ボトリングは2000年である。
つまり、ウイスキーの方が後なのだ。
あと、キャンベルタウンロッホは 旧字体で、Campbelltoun Lochと綴る。
ウイスキーはCampbeltown Lochなので、lが一つ少なく、oではなくwになっている。
間違っているわけではないので、誤った指摘をして赤っ恥をかかないようにしたい。
※CWニコルさんも歌っているので、興味がある方は聞いて下さい。
↓↓↓
https://music.youtube.com/watch?v=iH8XA1Ic6qg
今は年に数回はボトリングされているようで、ロットによる違いはあるのだろうか?
このロットはおそらく2023年9月にボトリングされたものだろう。
それを飲んでインプレッションを記載する。
【インプレッション】
ブリニーな潮風、少しサルファリー、グラッシーなニュアンス、バニラクリーム。
キャラメル、おろし生姜、少し木の根っ子のようなエグみ、スピリティさがある。
甘い麦飴、ショートブレッド、ピートスモーク、サトウキビの髄。
磯っぽさや麦感にライトなピートスモークを纏った、キャンベルタウンらしい味わいのウイスキー。
だが、若さやエグミなどオフフレーバーも感じる。
売値が1万くらいなので、それなりに熟成された原酒も使われているのだろう。
しかし、おそらくキルケランの若さと、スコシアのエグミがまあまあ出ている。
これは経年で抜けにくい要素だが、それを越えてくるスプリングバンクの変化に期待したい。
地域の特徴がうまく出されている、秀逸なブレンデットモルトだ。
【Good/Verygood!!】
◼️スプリングバンク 10年 パロ・コルタド 55%
6年のバーボン樽での熟成のあと、パロ・コルタド・シェリー樽で4年熟成。
パロコルタドとはシェリーの種類の一種で、珍しいとは聞いたことがある。
くわしく知りたい方は、Googleで調べればある程度わかる。
それに飽き足らない方は、五反田シェリーミュージアムを訪れて、館長に教えを請うことをおすすめしたい。
スプリングバンク、シェリーは価格が高騰する要素だからか、瞬殺で売り切れていた。
スペックとしては、2013年7月蒸溜、2023年9月11日瓶詰の10年熟成。
6年間のバーボン樽での熟成後、4年間パロ・コルタドシェリーで熟成されている。
アルコール度数は55.0%で、アウトターンは10,200本だそうだ。
【インプレッション】
新樽の焼いた鉛筆の芯のニュアンス、ブルーベリー、還元臭のある黒ブドウの皮、焦がした三温糖。
厚みのある麦、バーボン樽のバニラ、白桃のクリーム、カルダモンのようなスパイス。
イチゴジャムを塗ったバタートースト、ピートの苦味、ワックスを塗ったオレンジの皮、ざらっとしたこし餡、ピートの苦味。
バーボン樽の影響が意外に強く、そこにシェリーの影響を足した感じでこの段階ではそれは強くない。
ただ、変化の巾が大きそうな味わいで、サンプルボではなく、フルボトルから様々なタイミングで飲んでみたい。
【Verygood!!】
テイスティングパックも、残るは二つだけとなった。
それも近々飲んでみようと思う。