ブルゴーニュの代表的な赤ワインを算出する2大銘醸地といえば、ヴォーヌ・ロマネとジュヴレ・シャンベルタンだろう。

ヴォーヌ・ロマネはロマネ・コンティを、ジュヴレ・シャンベルタンはシャンベルタンという偉大なるグラン・クリュ(特級畑)をそれぞれ擁する。


しかし、かなり高嶺の花と化しているヴォーヌ・ロマネに比べると、ジュヴレ・シャンベルタンは手頃な価格で手に入るものも多い。

このワインの作り手、ミッシェル・ギーヤールもその一つだ。


ギーヤールは、2020ヴィンテージのプルミエ・クリュ(一級畑)でも税前なら1万円を切っているという、良心的な価格のドメーヌだ。

といっても、安かろう悪かろうという作り手ではない。


1952年、今の当主の父が創業した、ジュヴレ・シャンベルタンに5haを所有する小規模ドメーヌだという。

しかし、栽培はリュットレゾネ(減農薬農法)で栽培、除草剤を使用していない。


その上位概念にビオロジック(有機農法)があるため侮られがちだが、個人的には気に入ったワインの製法を見ると、リュット・レゾネであることが多い。

ビオの認証をとるにはある一定の定めがあり、費用もかかるそうだ。

それゆえ、認証を取らずに実質的な有機農法を実践する作り手も多いのだろう。

また、そういうワインは熟成にも向いている印象があり、還元臭とよばれるオフフレーバーがほぼ出ないと思う。


また、ギーヤールは平均樹齢が40年超と長めで、この一級畑コルヴォーに至っては70年を越えている。

ちなみに、コルヴォーはグラン・クリュであるマジ・シャンベルタンの北側に隣接する区画だそうだ。


このワインは、最近あるネットショップでまだ2本残っているのに目が留まった。

今から15年前の2009ヴィンテージのハーフボトルが5,000円を切っている。

2~3年前くらいだとまだ高い印象だったかもしれないが、今時の値段を考えると全然ありな値段だ。


もっとも前述したように、このワインは新しいヴィンテージでもフルボトルが税前1万円で買える。

しかし、ブルゴーニュのビッグヴィンテージである2009年のもので、15年の時を経た熟成ワインだ。

まして、ギーヤールは新しいワインを飲んだ印象だと、熟成に向いていて少し熟成した方がより良さそうだった。


それを味わいたくて2本とも購入、そのうちの1本を自宅で開栓した。

なお、輸入元はオーレ・ジャパンで、グラスはリーデルのヴィノム、ピノ・ノワールを使用した。

そのテイスティングを記載する。


【テイスティング】

熟したダークチェリー、イチジク、鉄分を含んだ血のニュアンス、赤土と腐葉土。

ぐずぐずにはなっておらず、骨格を残しながらいい熟成をしている。


湿った枯れ葉、キノコ、紅マドンナのようなオレンジ様の柑橘、ウェアハウスの樽や苔。

新樽率がある程度高そうで、しっかりとウッディネスとスパイスが利いている。 


しっかりとミネラル、熟成肉、赤錆、薔薇の花びら、チョコレート。

果実味、樽、熟成肉っぽさ、バラの花などが一体になっている、クラシカルな熟成ジュヴレ・シャンベルタン。


熟成の足が早いハーフボトルなので少し心配したが、いい熟成をしている。

血や錆などの鉄分が多いジュヴレ・シャンベルタンだが、しっかりと果実味も主張する。

これが家で5,000円で飲めるのは非常にありがたい。


合わせたのは焼いた霜降り肉で、塩コショウと醤油ベースのタレで食べた。

ジュヴレ・シャンベルタンは醤油味とも合わせやすいので、家飲みにはいい。


最近は少し熟成したワインが手軽に買える事が減った。

私は若いワインも楽しめる方で、果実身を楽しむ段階として楽しんでいる。

しかし、熟成したワインは多彩な香りを身に纏い、それにしかない魅力がある。

それはワインバーで楽しんでいて、家で飲む熟成ワインはボルドーやローヌが多い。


久しぶりに家でブルゴーニュの熟成ワインを飲んだが、やっぱりいいなあと思う。

幸せな時間をくれるジュヴレ・シャンベルタンの熟成ワインだ。



【Verygood!!!!】