先日開催されたウイスキー・フェスティバル2023。

その中で試飲して気に入り、家でじっくり飲みたいと購入したボトルがある。


一番最後に試飲したが、シェリー樽のリッチさと果実味、オフィシャル的な厚みや多彩さがある素晴らしいウイスキーだった。

調べてみるとまだ普通にネットショップにも売っているし、価格をみると長熟のスペックを考えて今の相場だとそこまで高くない。


それがこのデュワーズ32年ダブルダブルで、ブレンデッドウイスキーのビッグネーム、デュワーズの出しているスモールバッチの限定品だ。

21年、27年、32年、36年というラインナップだが、この32年はボトリングされたのが2019年。

32年熟成なので、1987年以前に蒸溜された原酒でつくられているという事になる。

ウイスキーのデータベースサイト、Whiskybaseによると500mlと375mlのボトルが出ているようで、両者とも90pt前後の高得点を得ている。


日本に正規輸入されているのは500mlの方で、今ネットショップで売ってる価格は税前40,000円前後だ。

ちなみに、36年になると税前240,000円前後と6倍くらいに跳ね上がる。

4年でこの違いという事は、36年にはそれ以上に熟成の長いものが使われているのだろう。


ダブル・ダブルの意味は、熟成したモルト同士、グレーン同士をブレンドして、それぞれをさらに樽熟成。

その熟成樽をブレンドしてブレンデッドにして熟成し、その後さらに甘口シェリーのペドロヒメネス(PX)シェリーで後熟しているらしい。

一体感を強めて、滑らかさを出したいと意図しての事だろう。



ブレンデッドウイスキーを買うのはいつぶりか記憶にないが、多彩な味わいでオフィシャル的な味わいの高品質なウイスキーだと感じた。
フェス当日に某酒屋が出していた、同じ熟成32年のフラッグシップのウイスキーも有料試飲したが、個人的にはこちらの方が遥かに好みだった。


ちなみに今のデュワーズのマスター・ブレンダーはステファニー・J・マクロードという女性ブレンダーだ。

以前、アバフェルディの蒸溜所長の退職時に選んだアバフェルディのシングルカスクでその名を知り、注目していた。

クリス・アンダーソンズカスクと銘打たれたその18年熟成のアバフェルディは、今まで飲んだアバフェルディの中でもトップクラスの味わいだったからだ。

また、インターナショナル・ウイスキー・コンペティションで、3年連続で最優秀ブレンダーに輝いているらしい。

調べてみるとこのウイスキーの素性が分かり、自分がいいと思った理由が腹落ちした。

そのウイスキーを自宅で開栓し、改めてテイスティングしてみた。



【テイスティング】

トップに微かにグレーン感、少しミーティーなニュアンス、焦がした黒糖、熟したブラッドオレンジ。

焼いた籾殻のようなスモーキーさ、古いウェアハウスの香り、樹脂っぽいニュアンス、熟した白ブドウ。

黄桃の果実味、さらっとした蜂蜜、繊細なモルディさ、ナフタレン。

ダークチョコレート、滑らかなタンニン、オーキーさ、草っぽいニュアンス。

滑らかな口当たりと多彩なフレーバーや甘さがあり、46%加水だが充分に飲みごたえがある。


グレーン感はあるが浮いておらず、しっかりとオークの熟成感が出ているのに尖ったスパイシーさはない。

高い技術が発揮されていて、とにかくスムース。

ニュアンスとしてはモートラックやリンクウッド、トマーティン、ダルユーインやブラックラ、クラガンモア、オードなど様々なニュアンスが混じりあっている印象。

今のデュワーズはアバフェルディがキーモルトだと言われるが、そのニュアンスもあるが強くはない。

PX由来の甘みがしっかりあるため、これがオロロソフィニッシュだったらさらに好みだったかもしれない。


海外でもまだ普通に売っているが、楽天でもいくつかの店で扱っていて、セール時のボイント還元率を考えて国内で購入した。

500mlや375mlでの展開は買い求めやすさを出すためもあるだろうが、バッチ容量が少なかったのもあるのだろう。

貴重な原酒から成り立っていて、もし1987の32年熟成のシングルモルトなら、今やこの値段では買えないだろう。

多彩なフレーバーが調和した、ブレンデッドゆえの良さも味わえる。

瓶内で時間を経るとさらに良くなりそうな味わいで、余裕があるときに買い足したいと思う。


かなり久しぶりに買ったブレンデッドは、パッケージデザインもいい秀作だった。


【Verygood!!!!!】