世界最高クラスの高級ワインを生み出す作り手、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)。

DRCは神に愛された村、ヴォーヌ・ロマネにある6つのグラン・クリュ(特級畑)のうち、4つを所有する。

また、そのうちの2つがモノボールと呼ばれる単独所有畑で、1つがロマネ・コンティ、そしてもう1つがラ・ターシュだ。


ラ・ターシュはロマネ・コンティの腕白な弟と言われ、6.06haの畑から採れたピノ・ノワールで作られる。

一度は飲んでみたい憧れの高級ワインだが、面積が広いだけあって年間12,000~23,000本とまあまあの本数が作られている。


そのラ・ターシュは二つの区画から成り立っていて、一つが元々のラ・ターシュ、そしてもう一つがレ・ゴーディショ・ウ・ラ・ターシュと呼ばれる。

なぜかといえば、レ・ゴーディショという一級畑があり、かつてはロマネ・ラ・ターシュやラ・ターシュ・ロマネというラベルで販売されていたという。

それをDRCがラ・ターシュに編入する申請をし、裁判所に認められたため、プルミエ・クリュ(一級畑)であったゴーディショがラ・ターシュになった。

つまり、ゴーディショのうちDRCが所有していたものは特級ラ・ターシュに昇格し、対して他の所有者のゴーディショは一級ゴーディショに留まった。


DRCはゴーディショを全て買収しようとしたらしいが、それに応じなかった作り手がいくつかいたらしい。

そのためわずか1haと小さいながら、今もゴーディショという一級畑のワインが作られているという背景がある。

そのゴーディショを所有するドメーヌのうちの一つが、マシャール・ド・グラモンだ。


このドメーヌはまだ歴史が浅く、初代のアルノー・グラモン氏により1963年に設立された。

現当主アルバン&アレクシ・グラモン兄弟が2代目で、レ・ゴーディショを所有している生産者としてその名を轟かせている。


マシャール・ド・グラモンは元々はネゴシアンのデュフル・ルを母体にしていて、ロバート・パーカーが「ブルゴーニュで最も信頼のおける生産者の一人」とお墨付きを与えるという。
また、リアルワインガイドでもそのコストパフォーマンスの高さが称賛されている銘醸ドメーヌだ。

このワインはドメーヌの本拠地に程近いニュイ・サン・ジョルジュ(NSG)にある、レ・ゾー・プリュリエという区画から採れたピノ・ノワールを使用している。
ニュイ・サン・ジョルジュにはプリュリエというプルミエ・クリュ(一級畑)があるが、ラベルのAOCはニュイ・サン・ジョルジュとなっているし、HAUTSがついている別の区画だ。
プリュリエのすぐ上の急斜面に位置している、村名格の単一畑だと思われる。

別のヴィンテージは飲んだことがあったが、家の近くの酒屋でゴーディショと一緒に買った2018ヴィンテージを開栓してみた。


筋肉質のタンニン、ブラックベリー、ダークチェリー、黒っぽいベリー系のピノ・ノワール。
ニュイ・サン・ジョルジュらしいしっかりとした骨格、酸も強い。
少し時間をかけると開いてくるが、黒土、焼いたオーク、ブラックペッパーのようなスパイス。
アフターはプラムっぽい果実味が支配的で、ちょっと熟したカベルネ・ソーヴィニヨン的。
今回はリーデルのヴィノムをつかったが、グラスの形状によってはピノ・ノワールらしさがさらにマスクされるかもしれない。

骨格のしっかりしたニュイ・サン・ジョルジュらしいワインで、2018だからボチボチいいかと思ったがまだ早い印象がある。
畑名にあるプリュリエはプラムから派生した言葉だそうで、確かにしっかりした酸、黒寄りの果実はプラムを彷彿させる。
ただ、もう少し時間をかけた方がよさそうで、値段は今の相場では安かったが、現時点の味ではコストパフォーマンスがいいとは言いがたい。
次に開ける機会があったら、少なくとも10年くらいは熟成させた方がいい。
そう思ったゴーディショを所有するドメーヌのニュイ・サン・ジョルジュだ。

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