前回に引き続きまたまたグレンスコシアである。
前回、印象に残っているグレンスコシアの一本として挙げた、キャンベルタウンビクチャーハウスの100周年を記念したオフィシャルボトル、レジェンド・オブ・スコシアの10年熟成。
日本というか私の周りでは結構評価の高かったボトルだったように思うが、ウイスキーベースのスコアは83.96とかなり低い。
キャンベルタウンピクチャーハウスは1913年にアールヌーヴォー様式で建てられた映画館らしく、その100周年を記念して2014年にボトリングされ、日本では2015年初め頃に流通していたボトルだ。
キャンベルタウンピクチャーハウスと検索すると、ストイックなドリンカー、松木さんのブログが出てきた。
松木さんがVerygoodというレートをつけているため、印象としてはウイスキーベースで88~90位はついていてもおかしくない。
ヘビーリー・ピーテッドだし未熟さもなく、当時ブラインドで飲んだらロングロウと答えそうだなと思った、個人的にも好きな味わいだった記憶がある。
スペックとしては、2014年ボトリングの10年熟成のため、逆算すると2003や2004頃のヴィンテージという事になる。
当時の10年熟成のオフィシャルボトルはバーボンカスク熟成だったようたが、こちらはシェリーカスク熟成。
アルコール度数は50%で加水されているのではないかと思われるが、冷却濾過や着色はされていない。
アウトターンは6,000本でヘビーリー・ピーテッド表記があり、名建築であるキャンベルタウンピクチャーハウスがラベルにあしらわれた美しいデザインのボトルだ。
1万円を切る価格帯は当時のオフィシャル限定品としては安く3本買ってまだ2本は未開栓で手元にある。
話題になってもう8年も経つのかという驚きもあり、ウイスキーベースの低評価が気になったのもあって、開栓して改めてテイスティングしてみた。
【テイスティング】
麦の甘味、オレンジマーマレード、強めのピートスモークとその苦味、潮の香り、クランベリーやレーズンなとのドライフルーツの入ったパウンドケーキ。
クリーミーなコク、少しくぐもったシェリー感、曇り空のような湿ったニュアンス、ドライジンジャー、はちみつバター。
余韻にはドライアプリコット、少し植物系や乾燥した柑橘の皮のようなほろ苦味やエグミ。
アルコールのパワーは十分に感じる伸びのいい余韻。
記憶の中ではこんなにシェリーカスクっぽいニュアンスがある印象はなかったが、しっかりとシェリー由来のオレンジマーマレード感やドライフルーツ感があり、アメリカンオークっぽいバニラのニュアンスやホワイトチョコレートを感じる。
ブラインドで飲んだらおそらくロングロウというだろう味わいで、麦の良さが押し出されたバランスのとれたピーテッドタイプのウイスキー。
シェリーのネガティブなフレーバーが全くないわけではないが、欧米の人はこれをネガティブだとは捉えないだろうという程度にしか感じない。
ボトリングから8年強という時間経過による変化は思ったよりなかったが、加水の妙かリリース当時からこなれた仕上がりだったということではないか。
ピーテッドタイプのキャンベルタウンモルトという好きなスペックなため、個人的には結構おいしいと思う。
ラベルや筒のデザインも美しいし、黒いボトルには高級感がある。
麦の甘さや素朴な感じがグレンスコシアの魅力だと思うが、ヘビーリーピーテッドによってその野暮ったさや表情が変わってくる、スマッシュヒット的なウイスキー。
スペシャルというわけではないが、飲み飽きない良いグレンスコシアだ。