先日、いつもお邪魔する店で持ち寄りワイン会があり参加した。
いつもインポーターやソムリエの方などプロの方も何人かいらっしゃるが、今回もインポーター2人に加えて、イタリアで働いているソムリエさんがオフシーズンで一時帰国しており、ゲスト参加されていた。

私もブラインドでの評価を聞いてみたいと思ったワインを1本持ち込んだ。
試飲したときにポテンシャルとコストパフォーマンスの高さに驚いたカリフォルニアのピノ・ノワールだった。
飲んだのがワインフェアのプラカップ試飲だったため、きちんと飲んでみたいのもありそれを選んだ。
タンタラというワイナリーの後継、シャレーンのトンドレ Hブロックというピゾーニのラ・ターシュのクローン100%の区画で、樽もDRCでも使っているものを使っているワインだ。



私が飲んだときは開けて時間が経っていたのか、ブルゴーニュのグラン・クリュと見まがうような味わいで、その割に価格が安かったのだ。
開栓したそのワインは、私が飲んだときよりもカリフォルニア的だったが、ブルゴーニュのようなエレガントさに溢れるピノ・ノワールだった。

皆その甘さや南の地域に出る完熟感に違和感を覚えながら、有名な畑のようだという私のヒントに惑わされたのかブルゴーニュだと答えた。
しかし、店主は香りだけで違いがわかったらしく、この地域のブドウにはこれ、とボルドー用のグラスでサーブし、そして次にワインの違いをインプットするために、とあるワインを開栓してくれた。

それが、このジュヴレ・シャンベルタンのクレピヨというプルミエ・クリュ(一級畑)から収穫されたピノ・ノワールでつくるワインだった。
作り手はアンベール・フレールというドメーヌで、その名の通りエマニュエルとフレデリックという兄弟で運営している。
ジュヴレ・シャンベルタンの名家、デュガ家出身の母の血を引き、人気ドメーヌであるクロード・デュガやベルナール・デュガ・ピィの従兄弟にあたるという。

日本では従兄弟のドメーヌより知名度はないが、フランスの専門家からの評価も高く、素晴らしいワインをつくる。
この店の店主はインポーターでもありワインの輸入を手掛けているが、ドメーヌから分けてもらいバックヴィンテージも含めたアンベールを数年前に輸入した。
その時に試飲会が行われ、村名からプルミエ・クリュ、グラン・クリュもたっぷり飲んだが、どれも素晴らしいワインだった。
ヴィンテージ違いだがクレピヨも飲んだし、2013や2014など数本購入しセラーにいれてある。

今回、店主にしては珍しくブルゴーニュをデキャンタージュしてのサーブだったが、それもあるのか見事に花開いていた。
カリフォルニアのピノ・ノワールと比較するとチャーミングな酸やミネラル感が特徴で、リッチで甘さのあるカリフォルニア、エレガントで酸が心地よいブルゴーニュという対比がよく理解できた。

クロード・デュガやベルナール・デュガ・ピィは私が飲んだワインは、骨格がしっかりしていて、重厚で力強いイメージがあった。
対してアンベールはエレガントさやしなやかさが際立っていて、畑のポートフォリオは似ていてもスタイルが違うワインだと感じた。
しかし、この日飲んだクレピヨは、アンベールが時にデュガ家で一番だという評価を受けるというのも頷けるワインだった。

カリフォルニアのトンドレ Hブロック2019と、ジュヴレ・シャンベルタンのクレピヨ2013は価格的には似たような値段だったし、どちらがいいというのは好みにも寄るから一概には言えない。

しかしブルゴーニュ、ジュヴレ・シャンベルタンらしさに溢れ、かなりの量を飲んだあとでも唸るほどの素晴らしさがあるワインだったのは間違いない。
買っておいて本当によかったし、自宅セラーのものを開けるのがますます楽しみになった。


【Verygood!/Excellent!!】