スプリングバンクは、自社で製麦したモルト100%で作る事が信条のウイスキー蒸溜所だ。
中でも地元キャンベルタウン産の大麦を精麦する特別なウイスキーをローカルバーレイと呼ぶ。
かつて1965、1966、1967、1970に蒸溜されたものを使ったローカルバーレイは、スプリングバンクの中でもレジェンダリーなウイスキーだった。

その後長らくつくられていなかったが、ローカルバーレイによる蒸溜は1999年に再開されたという。
奇しくも、今や日本を代表するウイスキーbarの一つである、有楽町キャンベルタウンロッホがオープンした年で、ちょっと運命的な巡り合わせを感じる。

その新ローカルバーレイが初めて市場に出たのは、2011年スプリングバンクソサエティ向けに詰められたリチャード・シェリー・バット熟成の11年ものらしい。
現在税込み€1,499(約192,000円)で、海外の酒屋で売られているこのボトルのアルコール度数は57.9%、アウトターンは516本だ。
また使われた大麦のスペック、Prisma barley from Low Machrimore farmは、後に復刻ラベルの第一弾で出た1999ヴィンテージと同じである。
私も飲んだことがあるが非常に気に入り、オークションで落札したものが手元に一本だけある。

復刻ラベルのローカルバーレイに比べて、値段は上がらなかった印象があったが、もはや買い足せない値段になってしまった。
ポテンシャルを最大限発揮するベストなタイミングで開けたいと思う。







これ以外にスプリングバンクソサエティから出ているものでは、ソサエティ10周年に出た同じ1999ヴィンテージの14年がある。
これはリフィルシェリーバット熟成で、アルコール度数は57.8%、アウトターンは546本だ。

今のところ飲んだ新ローカルバーレイでは、個人的に一番好きなボトルだが、これまた買い足すのはなかなか難しいのではないだろうか。
1999ヴィンテージがどのくらい蒸溜所に樽が残っているかわからないが、今出たら21年以上の熟成ものということになる。
新ローカルバーレイは熟成が短いものが多いが、熟成が長いものが出てくるならぜひ飲んでみたいものだ。




かつてのローカルバーレイを復活させたラベルの新ローカルバーレイは、2016年からリリースされている。
それまでは蒸溜所で売られているデューティペイドサンプルにも、ローカルバーレイはいくつも出されていた。 

しかし、復刻ラベルの新ローカルバーレイが出て、翌年からはデューティペイドサンプルではボトリングされなくなっているようだ。
毎年9,000本以上出せているとはいえ、それほどたくさんは仕込めていないのだろうか。
願わくばロングロウのローカルバーレイも飲んでみたいので、いつかぜひ出してほしいものだ。

最後に備忘録として、今までリリースされた新ローカルバーレイのヴィンテージ、ボトリング、熟成年、アルコール度数、アウトターンをリリースの順に並べてみた。
また、ラベルには記載がないが、熟成樽の比率についてもウイスキーベースの記載を転記する。

ウイスキーベースは登録を担当する人的要因で多少差はあるが、体感的にはソースのない情報を簡単にあげない。
そのため、何かしら根拠のある情報なのではないかと思うのでそのまま記載する。

1.1999年9月蒸溜 2016年1月詰 16年 54.3% 9,000本 80%バーボン20%シェリー Prisma barley from Low Machrimore farm

2.2006年2月蒸溜 2017年2月詰 11年 53.1% 9,000本 100%バーボン Bere barley from Aros Farm

3.2007年6月蒸溜 2017年11月詰 10年 57.3% 9,000本 70%バーボン30%シェリー Belgravia Barley from West Backs Farm 

4.2009年7月蒸溜 2018年10月詰 9年 57.7% 9,700本 80%バーボン20%シェリー Optic Barley from High Cattadale Farm

5.2009年7月蒸溜 2019年10月詰 10年 56.2% 9,000本 77%バーボン20%シェリー3%ポート Optic Barley from High Cattadale Farm

6.2010年6月蒸溜 2020年12月詰 10年 55.6% 8,500本 100%オロロソシェリー  Belgravia Barley from Glencraigs Farm

7.2011年5月蒸溜 2021年12月詰 10年 51.6% 15,000本 100%バーボン Belgravia Barley from Glencraigs Farm

8.2011年5月蒸溜 2022年12月詰 11年 55.1% 15,000本 55%バーボン 35%シェリー 10%ラム Belgravia Barley from Glencraigs Farm

9.2010年6月蒸溜 2023年12月詰 13年 54.1% 8,400本 60%バーボン 40%シェリー Belgravia Barley from Glencraigs Farm


※8および9は2024年5月16日追記