東ハイランドのグレンギリー蒸溜所。

東ハイランド最古といわれ、現在はモリソン・ボウモア社が経営するビームサントリー系列の蒸溜所です。

グレンギリーとは『谷間の荒れた土地』という意味を持つそうで、歴代のオーナーは水源の確保に苦労させられてきたそうです。

ピーティーなハイランドモルトとして知られており、1970年にモリソン・ボウモアのボウモアに次ぐ第二の蒸溜所としてその傘下に入りました。

1970年代頭のグレンギリーには伝説のボトルが多いですが、このボトルも間違いなくそんな名品の一つと言えるでしょう。

Slim cowell’s Personal Selection2と書かれた簡易的なラベルで、1972年ヴィンテージの15年熟成。
度数はシールで上から60%と貼られていて、ちょっと怪しい雰囲気を醸し出しています。

Slim Cowell氏は熱烈なウイスキー愛好家だそうで、パーソナルセレクションは何本も出ているようで、松木さんのblogにもパーソナルセレクションのⅧが載っていました。
少なくとも8本は出ているのでしょうが、私は初見でした。

蒸溜所表記もなくハイランドシングルモルト表記で、モリソン・ボウモアではなくたまに見かけるモリソン・ハワット表記。

モリソン・ボウモアのルーツは、1951年にスタンレー・モリソン氏とジェームズ・ハワット氏によって設立されたウイスキー仲介会社だそうです。
モリソン氏とハワット氏、二人の創始者の名前を冠した会社のボトルは、ボウモアでは見た事がありますが、グレンギリーでは初めてでした。

ちなみに、ジェームズ・ハワット氏は日本とも縁が深く、日本スコットランド協会に多額の寄付をして下さっていたそうです。
協会の名誉会長を務め、現在はハワット氏の名前を冠した奨学金も協会内にあるとの事。

話がそれましたが、このボトルは一見すると少し怪しいですが、中身は驚愕もののシェリーカスクのグレンギリーでした。

熟したアプリコットやオレンジ様のフルーツ、タバコやレザー、濃いめのエスプレッソ、アーシーで重厚なピート、分厚い麦と重厚なシェリーカスクのウッディネス、ローストしたナッツ。
長く長く続く余韻。

ブラインドでのんだらラフロイグやボウモアも候補に入りますが、やはり70年代前半のグレンギリー、と答えるような味わいでした。

15年くらいの熟成で仕上がったハイプルーフ、濃厚なシェリーウイスキーの瓶内変化という、ド鉄板のスぺックでしびれるウイスキー!

さすがに70年代のギリーで、時間経過による粘性もあるのですが、15年でこの仕上がりはアンビリーバブルです。

開栓したてを飲んだため、もう一度時間経過をした姿を焼き付けたいと思いました。

私が知らない名品がまだまだ存在するんだなあ、と改めて思ったボトルでした。


【Excellent!!!】