アメリカの野菜と果物 農薬残留リスト2023 
ダーティダズン・クリーン15(Dirty Dozen, Clean 15 2023)#112
ハー美咲【管理栄養士・ホリスティックヘルスコーチ NY在住】Misaki Harr
2023/04/27
「コンテンツ]
    1 アメリカの農作物、残留農薬の高いものと低いもののリスト
(ダーティダズン、クリーン15)
        1.1 ダーティダズン(Dirty Dozen): 残留農薬が高いもの
        1.2 クリーン15(Clean 15): 残留農薬が比較的少ないもの
    2 なぜ、残留農薬に気をつけなければいけないか
    3 オーガニックの農作物の規定やメリット
    4 農薬を使った野菜や果物を食べる前に気をつけること
        4.1 ①食べる前にしっかり水で洗うこと
        4.2 ②地元産のものを選ぶこと
        4.3 ③旬のものを食べること
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ホリスティック栄養学に関しては、こちらの記事と動画も参考にしてください。
https://misakiharada.com/holisticnutr...
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ハー美咲【管理栄養士・ホリスティックヘルスコーチ NY在住】Misaki Harr
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今回は、アメリカで野菜や果物を買う時、もしくはアメリカから輸入された野菜や果物を買う時に知っておきたい、アメリカの残留農薬が多い野菜や果物、そして残留農薬の比較的少ない野菜や果物についての、2023年3月末に発表された2023年の最新のリストをご紹介します。

アメリカの農作物、
残留農薬の高いものと低いもののリスト
(ダーティダズン、クリーン15)


このデータは、アメリカの環境保護団体、Environmental Working Group (EWG)というワシントンD.Cを拠点とする環境保護を目的とする非営利団体が毎年発表しているもので、米国農務省(USDA)からの最新の試験データから毎年分析されています。
今年のリストで、EWG は、最も人気のある 46 の果物と野菜の 46,569 サンプルの USDA データを解析し、残留農薬の多いもの、少ないものとそれぞれランキングしています。残留農薬が多く見つかった野菜や果物に関しては、「ダーティダズン」とよばれ、12品目リスト、残留農薬の少ない野菜や果物に関しては、「クリーン 15」といわれ、15品目のリストとなっています。

ダーティダズン(Dirty Dozen): 残留農薬が高いもの


残留農薬の高い順に書かれています。

1.いちご
2.ほうれん草
3.ケール(コラードグリーン、マスタードグリーン(からし菜)も含む)
4.桃
5.洋梨
6.ネクタリン
7.りんご
8.ぶどう
9.パプリカ、唐辛子
10.さくらんぼ
11.ブルーベリー
12.さやいんげん


全てのリストはこちらからも確認できます。
https://www.ewg.org/foodnews/dirty-dozen.php

なお、イチゴ、リンゴ、チェリー、ほうれん草、ネクタリン、ブドウのサンプルの90%以上に、
2種類以上の農薬残留物が含まれているそうです。

ブルーベリーとサヤインゲンは、今年のダーティダズンリストに新たに追加されました。

いくつかのサヤインゲンのサンプルには、EPA が 10 年以上前に食品用に栽培されたサヤインゲンへの使用を禁止した有毒な殺虫剤であるアセフェートの残留物があったと報告書は述べているそうです。

また、ホウレンソウのサンプルには、他の作物の約1.8倍の残留農薬が含まれていたそうです。

ケール、コラード、マスターグリーンで見つかっているよく使われている農薬はDCPAという農薬で、
この農薬は、環境保護庁によって人間の発がん性の可能性があると見なされており、
2009年にヨーロッパでは禁止されています。

アメリカ環境保護庁(EPA:Environmental Protection Agency)によると農薬は神経系に影響を与えたり、目や皮膚を刺激したり、体のホルモン系を妨害したり、癌を引き起こしたりする可能性もあるとされています。たとえ低レベルであっても、複数の農薬にさらされることで相乗効果を生んでしまって、それそれの農薬は単独での場合よりも健康に大きな影響を与えると、NYU(ニューヨーク大学)の環境小児科のレオナルド・トラサンデ医師も話しています。

また、ナッツや果物、ブロッコリーやカリフラワーなどでよく使われる農薬であるクロルピリホスは、
環境保護団体の15年間の努力の末、2022年2月にアメリカ環境保護庁によって禁止されました。

クロルピリホスには、 神経毒性を引き起こし、子供たちの神経発達への影響にも関連する酵素が含まれています。化学物質は発達中の脳に損傷を与える可能性があるため、赤ちゃんや子供は農薬に対して特に影響されやすいとされています。2020年の研究では、農薬の中で一般的に使われている有機リン酸塩にさらされることにより、
子供のIQ損失と知的障害が増えることがわかっています。農薬をたくさん取り入れることは、胎児の発育中の内分泌系にも影響を与えて発育の成長、生殖、代謝も妨げる可能性があります。環境保護庁によれば、短時間でも、内分泌機能を変化させる農薬にさらされることは、生殖発達の重要な時期には、永続的な影響を引き起こす可能性があるとしています。

クリーン15(Clean 15):残留農薬が比較的少ないもの


次に、残留農薬の比較的少ないものについて。これは、クリーン15といって、15項目あります。
こちらは、少ない順に書かれています。

1.アボカド
2.とうもろこし
3.パイナップル
4.玉ねぎ
5.パパイヤ
6.冷凍さやえんどう
7.アスパラガス
8.ハニーデューメロン
9.キウイフルーツ
10.キャベツ
11.マッシュルーム(きのこ類)
12.マンゴー
13.スイートポテト
14.すいか
15.にんじん


全てのリストはこちらからも見れます。
https://www.ewg.org/foodnews/clean-fifteen.php

これらは、農薬残留の少ないものなので、オーガニックではなくても比較的安心して食べられるかと思います。
因みに、ニンジンは今年のリストに新たに追加されたもので、テストされた純粋な農産物のタイトルでマスクメロンよりも上位にきました。これらの果物と野菜のサンプルのほぼ 65% で、洗浄後には残留農薬が検出されなかったと EWG は指摘しています。アボカドとスイート コーンのサンプルは最もクリーンなサンプルで、検出可能な農薬は 2% 未満でした。

なぜ、残留農薬に気をつけなければいけないか

実は、アメリカで販売されている生鮮食品の約75%に、洗浄後でも有害な化学農薬の残留物が含まれているそうです。

オーガニックではない通常の農作物(コンベンショナルフード)には、人工的に作られた農薬や除草剤が使われていて、それらは体の中に蓄積し、癌や血液の病気の原因になり、体の免疫力を弱め、他の発癌性物質や病原体を誘発してしまうことが分かっています。ハーバード大学の研究では、農薬を多く含む作物を大量に食べた人は、尿中農薬のレベルが高く、生殖能力が低いことを発見しました。全粒穀物や葉酸などの食品や栄養素の中でも、低農薬作物を含む食品を食べた人々は、妊娠に成功する可能性が高かったとのことも分かっています。もちろん、農薬を怖がって野菜や果物を避ける必要はありませんが、農薬残留の高いものは、できるだけオーガニックを選んだ方が安心ですね。

オーガニックの農作物の規定やメリット

アメリカ農務省「USDA」では、オーガニックの食品に関しては厳しい規定が設けられています。

オーガニックのマークがついた農作物に関しては全て、
  • 遺伝子操作されていないこと、
  • 合成肥料や農薬といった使用禁止物質を収穫前の少なくとも3年間、一切使っていない土壌で栽培されたものである
などの規定があります。

また、2014年に発行された栄養学専門誌『ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ニュートリション』などにも掲載されている研究でも、オーガニックの農産物にはオーガニックでない方法で栽培されたものよりも、明らかに多くの抗酸化ポリフェノールが含まれていることも分かっているそうです。これらの抗酸化物質には、心血管疾患やある種のがんといった慢性疾患のリスクを減らす効果があることも分かっています。さらに、生物多様性環境などの土壌の保全が鍵となる有機農法で野菜や果物を育てることは、オーガニックでない農法よりもサスティナブル、つまり持続可能であるとされています。

オーガニックは高価ではありますが、オーガニックではないものを食べ続けることでの弊害から来る将来の病気などの可能性を考えると、将来高額な医療費を払うよりはオーガニックの食材を選ぶ方がもしかしたら経済的なのかもしれません。

農薬を使った野菜や果物を食べる前に気をつけること

最後に、農薬を使った野菜や果物を食べる時に私達が気をつけるべきことをお伝えします。
①食べる前にしっかり水で洗うこと
②地元産のものを選ぶこと
③旬のものを食べること

この3つが基本です。

①食べる前にしっかり水で洗うこと

石鹸、洗剤、または市販の洗浄液は使わないこと。

水が最良の選択です。

アメリカ食品医薬品局(FDA)によると、
「石鹸や家庭用洗剤は、徹底的なすすぎにもかかわらず、果物や野菜に吸収され、病気になる可能性があり、また、市販の農産物洗浄液の残留物の安全性は不明であり、その有効性はテストされていない」
としています。

②地元産のものを選ぶこと

地元の農家から直接購入したものを食べることで、農薬のリスクを減らすことができます。

③旬のものを食べること

果物や野菜が 旬の時期はたくさん収穫できるので、価格も下がります。
価格の安い時に、旬のオーガニックのものをまとめて購入し、冷凍しておくことも良い方法です。

今回は、アメリカで野菜や果物を買う時、もしくはアメリカから輸入された野菜や果物を買う時に知っておきたい、残留農薬が多い野菜や果物、そして残留農薬の比較的少ない野菜や果物についての2023年の最新の情報をお伝えしました。

今後、アメリカ産の野菜や果物を購入するときに、どの野菜や果物が出来るだけオーガニックが良いのなどリストを見ながら参考にしてください。野菜や果物には、良質のビタミンやミネラル食物繊維なども豊富に含まれていて、免疫力を高めてくれます。農薬残留があるからといって一切食べないということではなく、ぜひ、これからも賢く選択して毎日の食卓の中に取り入れていってくださいね。
(ここまで)