日本政府は16日木曜夜、新型ウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言の対象をこれまでの7都府県から全国に拡大しました。宣言の期限は5月6日までで、外出自粛などの要請を知事が出せるようになりましたが、罰則や法的な強制力は設けられていません。

こうした中、経済への打撃を恐れて外出制限などの措置をもっと早く講じなかったとして、安倍首相に批判が集まっています。
日本では新型コロナウイルスの感染者が増加する中、各地の医師会などから、医療システムが崩壊する可能性があるとの指摘が出ています。

複数の医師によりますと、現在日本では新型コロナウイルスによる感染症に対応する負荷が原因で、一部の重篤患者を緊急治療室で治療できない状況になっています。

日本は一時期、新型ウイルスの流行を封じ込めたかのように見えていましたが、18日土曜には確認されている感染者数が1万人を超え、死者も200人を超えています。感染被害は首都・東京で特に深刻化しています。

こうした状況で日本医師会は18日、記者会見を開き、医師会の中に臨床医を中心にした有識者会議を新設したと発表し、実際に患者を診ている観点から、感染予防や重症者の治療、ウイルス検査の方法などについて提言していく方針を示しました。

日本ではここ数週間、他国よりも検査数が圧倒的に少ない状況が続いており、専門家からは感染拡大の状況が把握しにくいとの指摘が出ていました。

こうした中、安倍首相は17日金曜、これまでの方針を転換し、検査を幅広く行っていくと発表し、「各地の医師会の協力を得て検査センターを設置する」と話しました。

日本は他国に比べて感染が確認された人数が少ないですが、病院はすでに患者を受け入れられなくなっています。医療従事者からは医療ガウンやマスクなどの不足を訴える声が出ています。日本は1月の時点で、中国以外で感染者が出た2番目の国だったにもかかわらず、新型ウイルスへの対応を準備していなかったことが伺えます。