3年連続の延長戦に入るかと思われた決勝戦は2-0のスコアで千葉の2連覇とゆう結果になった。
決勝前の両チームの意気込みは並々ならぬものがあった。10冠がかかった鹿島は3日連続の完全非公開練習、2連覇を目指す千葉も非公開練習を行うなどチーム情報を完全にシャットアウトした。
しかし両チームともこの決勝戦では共に主力選手を欠くとゆう事態を迎えることになってしまう。鹿島はフェルナンドが出場停止で内田もU-19の大会の為に決勝戦に参加するのは不可能であった。対する千葉もストヤノフ、結城を欠く布陣となってしまった。
鹿島はフェルナンド、内田の代わりに青木、新井場を。千葉はストヤノフ、結城の代わりに斉藤、中島をスタメンに起用してきた。
試合始まり、最初にビックチャンスを得たのは千葉であった。左サイドでフリーでボールを得た山岸がドリブルでPA内に切り込んで鹿島GK曽ヶ端と1対1の場面となるものの、山岸はパスを選択し絶好の得点機を逃してしまう。その後千葉はハースが負傷し、交代を余儀なくされたが、山岸のダイビングヘッド、巻のクロスに合わせたシュートなどのビックチャンスを演出するがどれも得点にはつながらなかった。
対する鹿島も、青木の無回転シュートや新井場のクロスなどでチャンスを作るもことごとく千葉DF陣の鉄のカーテンに跳ね返されてしまう。
前半は0-0のまま折り返し後半に入る。
後半に入り仕掛けたのは鹿島であった。立ち上がりすぐにアレックスミネイロがシュートを放つなど一気に点を取りにくる。柳沢もPA内で反転しシュートを撃ち、野沢も果敢にミドルシュートを狙ってきた。
だが試合の均衡を破ったのは運動量で勝っていた千葉であった。後半35分、左サイドの坂本からパスを受けた水野がボールを持ち込み右足を振りぬくと、ゴール左隅に吸い込まれていった。
続く2分後には水野の右コーナーキックから阿部が頭で合わせダメ押しの2点目をもぎ取った。
この2得点は千葉の素晴らしい攻撃で得たものでもあったが、集中力が生んだ2得点でもあった。
鹿島は集中力が散漫になっていてその結果水野の先制点を許してしまったのである。水野にパスが渡ったとき、水野は完全にフリーになっており、鹿島DFが水野の前に立ちはだかるもすでに遅かった。2失点目の場面も、先制点を奪われたことに動揺を隠せなかったのだろう。阿部のマークに付いていた青木はタイミングを外されて競り負けてしまった。
対する千葉は阿部を中心としてピッチ上にいる全選手が最後まで集中力を欠かさなかった。それは去年のPK戦までもつれた決勝戦を戦ったことによって得た経験だったのかもしれない。
得点が入らず我慢比べの状態だった中で、最後まで我慢し続けた千葉に勝利がもたらされ、我慢に耐え切れず集中力が切れてしまった鹿島は敗北を喫してしまった。この試合は、集中力を保つこともチームの力であることを示す試合となったと言っても過言ではない。
そしてこの試合では新たな才能を感じることもできた。この試合でMVPを獲得した水野は、21歳とまだまだ可能性のある選手である。敗れた鹿島にも増田をはじめとする若い選手が試合に出場していた。この試合で得た経験や、嬉しさ、悔しさは今後のサッカー人生において欠かせないものとなるのは間違いないだろう。
今後の活躍に大いなる期待を寄せたい。