朝「今日、飲み会」と独り言のように
嫁が呟くと、いつものように
「いってきます」ということなく
玄関がバタンと閉じられた。
キッチンで娘の朝食を用意していた僕は
その言葉が聞こえていたけど
何も言わずに返さず聞こえないふりをしていた。
夜、嫁が帰ってきたのは23時。
ただいまを言わず、娘の部屋へ直行すると
ひと言ふた言、なにか言って
そのま寝室に閉じこもった。
とくに言い争いはなく
単なる連絡事項だったようだが
僕はそれに首を突っ込むこともなく放ったまま
リビングでテレビを見ているふりをしていた。
僕はいつも「ふりをひている」
聞こえないふり、見てないふり、知らないふり
夫婦のような、家族のようなふり。
嘘ばっかりの家。
離婚まで、あと、2202日。