ヤンデレシズちゃん×甘楽の後編です
「もう外出んな、俺以外に会うな、…俺以外としゃべんな」
ツゥッと私の頬を撫でながらシズちゃんは言う。
その目には確かに怒りはなかったが…、怖かった。何が、なんてわからない。わかるわけがない、シズちゃんは昔から私にはわからないところで生きている。
「シズ、ちゃん?どうしたのさ…」
「…今日よぉ、新羅んとこで何やってたんだ?」
「何って…、世間話だけど。シズちゃん仕事で暇だったし」
ってあれ?なんでシズちゃんは私が新羅の家に いっていたことを知ってるの?仕事中だったはずなのに、
「あそこの近くで取り立てがあったんだよ。それで見かけた」
「…シズちゃん、仕事は?」
「早退した。…話しそらすんじゃねぇよ」
あぁしまった。微妙にシズちゃんの目に怒りが含まれてしまった。別にそらしたわけではなかったんだけど。
「外にはださねぇ。携帯も壊した。……逃がさねぇよ、甘楽」
そして噛み付くようなキス。
「ん、……んふぅ、んんんぅ……!」
窒息死、してしまう。そんな感覚に陥るほど長いキス。したを絡めているから、もっときつい。
苦しいという意志を込めて左手でシズちゃんの胸を押す。するとようやく離れた。
「はぁ、はぁ……、」
息を整えているとシズちゃんがしずかに言った。
「なぁ、知ってっか?……男女間に友情なんてないんだとよ。じゃあ手前と新羅や他の奴らは、何なんだろうなぁ」
「シズちゃんは私を、疑ってるの…?」
そうなら悲しいよ。信頼されないのは慣れてるけど、シズちゃんに信じてもらえないのはやだなぁ。そんなことを考えているとシズちゃんは首を横に振った。
「甘楽は信じてるぜ。愛してるからな……許せねぇのは、俺以外が手前を“女”として見ることだよ」
男女間の友情が存在しないってことは少なからず恋愛感情が入っているということ。シズちゃんはそれが嫌なのか。
「前から考えてたんだ。…今日新羅のやつの家から手前が出てくるのを見て、決めた。………甘楽を外に出さなかったら俺以外が手前を見ることはねぇし、女としてなんて、ないだろ?」
そこまで言うとシズちゃんは私を抱きしめた。絶対に離さない、そんな感じで。
「シズちゃん…。…うん、わかった。私はここから出ないし、シズちゃん以外とは会わないし喋らない」
そんなシズちゃんの背中に私は左手だけまわした。そして優しく安心させるように撫でた。
「だからさ、安心して…ね?」
「………おぅ」
だって私がここにいなかったらシズちゃんは壊れてしまう。シズちゃんのためだったら私の趣味とか、仕事だって投げ捨てる。
それぐらい、私もシズちゃんのことが好きなのだ。
「愛してる……甘楽」
「私も愛してるよ…シズちゃん」
それに、こんな愛が嬉しい私は……すでに壊れてしまってるのかも知れない。
END