▽ 方法論の良さ
 巷には、受験勉強本があふれかえってきます。スケジュール管理の本や、どの参考書を使えばいいのかという内容が主なです。
 しかし、私には、どれも不十分なものに思えます。
 それは、これらの本が、もっとも大切な「どうやって覚えるか」という部分についてほとんど何も書いてないからです。最終的には、根性で覚えろとか、丸暗記しろとか、そういった内容に落ち着くことがほとんどです。
 そのことに我慢がならなかった。
 ではここで、なぜ勉強がつまらないのか? どうしていい大学に行きたいのにあなたは勉強しないのか? あるいは勉強しても成果が成績に現れないのはどうしてなのか? という話をしたいと思います。一番気になっているでしょうから。
 その答えはあなたが使っている多くの参考書や授業は工夫のない単純暗記をするからです。ゴリゴリ暗記、丸暗記といわれるような勉強法です。
 このような丸暗記をすると、記憶の定着がうまくいかなくなります。知識がばらばらにちらばっていて、整理されていないために、忘れるのも早くなるのです。
 私が提案する勉強法は違います。
 ひとつの知識から芋づる式に多くの知識を習得する。それが私の勉強法です。
 多くの知識を習得するときにも、身近な生活での話題と絡めて、楽しく、そして日々の生活に役に立つように学習する。なるべく覚えることを少なくして、一つの事柄から多くの事柄を習得できるようにする。そして、それぞれの知識を関連付けて整理することで、記憶の定着を良くするのです。
 このことを意識すれば、勉強はかならず楽しいものになります。成績も伸びます。
 ですから、この本ではまず大量の単純暗記をなるべく排します。覚えることを必要最小限にし、あとの知識は芋づる式に習得できるようにすることを方法論の軸とします。
▽ 科学的な勉強法
 さて、「どうやって覚えるか」ということについて、最新の認知心理学・認知言語学・大脳生理学の知見は、多くのことを明らかにしています。
 たとえば、
○ 一日一時間半年で英論説文300枚暗誦する方法!
○ 中学一年生レベル255単語から10日で早慶合格レベル6000単語を習得する方法! (+小学生でも知っているカタカナ語100から、センター一千単語を習得する方法!)
○ 早慶合格レベル1000熟語を一週間で習得する方法!
 最新の研究は、こんな不可能に思えることをも可能にします。
 これらを実現するための方法は、どれも形態素分析や、フレーム意味論、概念構築の理論によるもので、科学的に、多くの人に効果があることを実証されているものです。今までの気合と根性の受験勉強法とは、そういった意味で一線を画しています。
 従来の気合と根性と地頭に依存した勉強法ではなく、
一、なるべく覚える量を少なくして
二、なるべく覚えやすい方法で
三、なるべく覚えるのに時間と労力とお金がかからない方法で
 効率的に東大早慶に入れる方法をここでは書きたいと思います。
 (東大や早稲田に関しては私が実際に合格したわけではないので、理一の柳本くんや東大大学院の長谷川先輩に意見を伺いました。他の東大早慶の在学生の方もご意見がございましたらぜひ、受験相談(yourmanifestojp@gmail.comまで!)のアドレスに連絡していただければ幸いです。)
 また、地頭に関係なく効果がある方法のみを取り上げます。
 サピア・ウォーフ仮説という言語学の理論(およびその検証結果)によれば、数学においては十進法で数をカウントする民族と六進法で数をカウントする民族のあいだには数学的能力に有意差があるそうです。しかし、言語に関してはそのような差はないそうです。たとえば、黒と白しか知らない民族に緑と赤の絵の具を見せても、白や黒との違いを区別することはできる、といったように。
 また、ノーム・チョムスキー博士の最新の研究によれば、人間の頭の中には生まれながらにして、普遍文法とよばれるシステムがあるそうです。これは、人は生まれながらにして文法を知っているということを示しています。にもかかわらず、民族間によって使う言語が異なるのは、周囲の言語に応じて、生まれながらに持っている文法の知識を変化させて、その言語に応じて自由自在に感情表現・意思疎通できるようにするためだといわれています。
 このことから分かることは二つあります。
 第一に、英語にせよ国語にせよ、そこから学ぶことのできる社会科にせよ、基本的にこれらは地頭の問われる教科ではなく、練習量がものを言う教科だということです。
 第二に、人間は外国語を習得するときに、一度ある程度の文法に関する基礎的な情報をあたえてしまえば、後は数をこなせばこなすごとに、自動的に、外国語がうまくなっていくものなのだということです。
 そういう意味でも、
㈰ 語源(接頭辞・語幹・接尾辞)まで遡って210の中学レベル単語から派生した5000もの早慶レベルの単語を習得させ
㈪ 教え子さんの大好きな洋楽の歌詞などを活かしながら40~100の例文をまずは暗誦させてしまい
㈪ あとは300枚の英語論説文を暗誦できるようになるまで音読させる
 という私のやりかたには、絶対の自信を持っています。
 こんなことはムリだと思われるかもしれませんが、誰にでもできることです。それこそ、be動詞すら分からなかった私の教え子たちでも半年足らずで㈰~㈫まで出来るようになりました。そして、彼らはセンター八割、そして慶應でも合格点を獲得するという信じられない成果を上げていきました。
 そんな経験からも、今回、この本では、まず英語・国語・小論文など短期間で多くの点数を稼ぎやすい科目に多くのページ数を割くことにしました。