企業の起こす問題を解決するためには、問題を生む要因を企業システムのなかに内部化するよりほかない。利潤を求める存在である以上、生存と存続のためのシステムの中に問題解決が含まれていなければ解決は程遠い。
文化の均一化や労働者の低賃金、環境問題など企業の起こす問題は全て企業の利害関係者を、かつてはミルトン・フリードマンが言ったように、株主のみとすることによって起きた。企業が市民の一人である以上、市民もまた利害関係者である。
文化の均一化はグローバリズムがもたらした最も大きな問題であるといわれている。資料三にあるように、日本は支配国としての役割も果たした。一方で資料四にあるように米国はハリウッド映画などの娯楽にいたるまで、全てを国家戦略と位置づけ売り込みを図った。
その反動として今日、世界中の若者を熱狂させているナショナリズムがあるから怖い。
しかし、BBCで有名になったオリバーのような多様性を認めつつも、自国の文化を村長するパトリオットシェフは希望の光である。
労働者の低賃金は、資料五の国産主義の行く末である。日本は金融と高度な科学技術研究によってしか生きていけなくなった。これはぺディ・クラークに聞くまでもない。
にも関わらず、国内生産を続けるから、購買力平価の異なる東南アジアの人々と労働者が競争し、社会保障を企業に丸投げしているため、実は負担がそれほど軽くはないアメリカと日本政府は法人税引き下げを競争せざるを得ない。
財界は流動性資産の一部を総合資産課税として納税し、基礎所得保障の導入を求めるべきである。政府は付加価値税のみによって運営し、法人税から所得税にいたるまで全てを廃止すべきだ。これらが貧困問題と文化問題の内部化である。
環境問題については今日までさまざまな解決策が採られて来たが、何一つ成功していない。炭素税は負担が大きすぎ、政治的には不可能であり、政府間取引は途上国の未熟な経済発展を阻害し、全ての負担を政府と将来世代に押し付ける。
ここで私が提案したいのは、排出権ベーシックインカムである。全ての国民に排出権を配り、足りない分は市場で交換する商店街のポイントとしてと使えれば意欲も湧くというものである。これが内部化である。
今日、企業は以前に増して公器である。ステークホルダーを増やすのはもはや不器用な選択ではない。なぜなら、価格競争と品質競争が限界を迎えつつある今日、残された戦略はイメージ競争しかないためである。