キャリア
(car,cur,course=走る)
ラテン語currere(carrus-=車)



 「キャリア ウ-マン」は高度な職歴を活かして第一線で活躍する女性を指すが、このキャリアcareerは「競争するための路」から「経歴」となった。最近では、一般の公務員(ノンキャリア)に対して上級試験の合格者で幹部候補者を「キャリア」と言う。
 スポ-ツカ-、ファミリ-カ-などカ-は「車」でお馴染みな言葉。カ-トcartは空港やス-パ-で使う「手押し車」。
 「食事のフルコ-ス」「受験の理科系コ-ス」「陸上競技や競泳の第一のコ-ス」のコ-スcourseは「走る(流れる)」から来ている。
 コンク-ルconcours(con=共に+cour=cur=走る)は仏語だが「共に走る」より「競技会」である。英語ではコンテストcontest。



     career           経歴
     car              車
     cart             手押し車
     course           コ-ス、過程

     cargo            船荷(車の荷)
     carry            運ぶ(車で運ぶ)
     carriage         運賃(運ぶ)
     carpenter        大工(車の大工)

     charge           課税、突撃(車に荷を乗せる)
  discharge           免除する(荷を下ろす)
     chariot          馬車

     current          流行の(走る)
     currency         流通、通貨(走る)
     curriculum       科目(走る路)
     cursor           カーソル(走るもの)
   incur              身に起こる(災いの中に走り込む)
    ocur             (出来事が)起こる(目の前で流れる)
   recur              再現する(再び流れる)
  concur              一緒に起こる(共に流れる)
   excursion          遠足(外に走り出す)

  concourse           合流(共に流れること)
  discourse           論説(走り回る)
intercourse           交際(互いに流れ合う)

クリニック
(clin=曲げる、傾く)
ラテン語clinare,ギリシャ語klima=坂



 眼科、歯科等の専門医や小規模な医院をクリニックと呼ぶことが多い。このクリニックclinic(clin=傾く、横になる)には必ず横になるベッドがある。このベッドが語源とは余り知られていない。カタカナ語が氾濫し、デンタルクリニック(歯科医)が年寄りの人達に理解されていると思えない。
新幹線等の長距離列車には背もたれが段階的に倒せるリクライニングシ-トがある。このリクライニングreclining(re=後ろに+clin=傾ける)は正に「後ろに傾ける」からである。
 物事の盛り上がった頂点をクライマックスclimax(clim=坂)は「坂」から「調子が上がる」の意味で「絶頂」となった。



   clinic           医院
 reclining          後ろに傾ける
   climax           絶頂

   climate          気候(坂-地形の影響を受ける)
 decline            衰退する(下に傾く)
 declination        下への傾き 
 declension         語尾変化、衰退
 declivity          下り坂
 incline            傾向がある(~方に傾く)
proclivity          性癖

グレイド
(grad,gress=歩く)
ラテン語gradi gradus



 「グレイドアップ」「ハイグレイド」と日本語にもなっているグレイドgradeは、「程度、等級」を意味するが、その原義は、「一歩づつ歩く」である。グラデ-ションgradationは色彩が少しづつ濃淡となる様である。graduallyは、「一歩一歩」「徐々に」で重要な単語。卒業graduationは、「一歩づつ階段を進む」からで、一学年づつ一歩づつ進級して、はじめて卒業できる。語学の勉強も一日一日の積み重ねが大切だ。gradは、gressと変化して他の単語を生む。




     grade           程度、学年
     gradation       グラデ-ション
     gradually       だんだんに
     graduation      卒業

   degrade           堕落する(階段を下りる)
retrograde           退歩する(後ろへ歩む)

   degree            程度、学位(下に歩くその一段)
   aggress           攻撃する(に向かって歩く)
   aggressive        攻撃的
  congress           会議(共に行く-集まる)
  progress           進歩(する)(前に行く)
  progressive        進歩的な
   digress          (脇道に)それる(離れて行く)
    egress           出てゆく(外に行く)
   ingress           入場(中に行く)
retrogress           退化する(後ろへ行く)
transgress           違反する(限度を超えて行く)

クロゼット
(close,clud=閉じる)
ラテン語claudere



 「押し入れ」「洋服ダンス」をクロゼットclosetと言うが「閉ざされた場所」が原義で「トイレット」の意味もある。WCはwater closetの略で日本語。英語ではrest roomを使う。
 金融改革が余儀なくされている今日、その根本には情報開示が不可欠である。デイスクロジャ-disclosure(dis=離れる+close=閉ざす)は「閉じているものを離す」より「隠しているものを開示する」ことである。
 「今日は閉店」の意味で「closed」の看板をよく見かける。
 cludeを含むカタカナ語はないが英語の派生語は多い。



    closet         押し入れ、洋服ダンス
 disclosure        開示
    closed         閉店

 disclose          明かす、暴く
  enclose          囲う、同封する
 conclude          結末を付ける(共に閉じる)

 conclusion        結論
 conclusive        決定的
  exclude          除外する(締め出す)
  include          包含する(閉じ込める)
  occlude          閉塞する(上を閉じる)
  seclude          引っ込める(離して閉じ込める)
 preclude          阻止する(前で閉じる)

    clause         条項(閉めくくり)

コ-ポレ-ション
(corp=体)
ラテン語corpus



 会社の商号のネ-ミングや、「法人、企業」の意味で使われているコ-ポレ-ションcorpration(corp=体)は「体(組織)をなしているもの」からである。株式会社の略語は英国では・・・Co.,Ltd、米国では・・・,Inc.。
また、二階建てのアパ-トにコ-ポの名前がついているのをよく見かけるが、これは和製語で、corporated houseの略だとされている。紛らわしい語に、コ-プがある。これも和製語でCO-OP(consumers cooperative)
と書き、消費者生活共同組合、略して生協。
 婦人用の下着のコルセットcorsetは「体を整えるもの」からだ。




   corpration       法人、会社
   corset           コルセット

   corporate        組合の、法人の、団体の
   corps            団体、軍隊
   corpse           死体
   corpus           身体、本体、全集
   corporal         身体の
   corporality      有体性
   corporeal        肉体的な
   corporeality     有形、有体
 incorporate        合体する、法人化する、具体化する
 incorporation      合併、法人、会社

コマンド
(mand,mend=命令する)
ラテン語mandare



 コンピューター用語のコマンドcomand(co=con=共に、強意+mand=命ずる)はいろいな処理の「命令」のことだ。戦争映画に出てくるコマンドは「命令された特殊部隊」で「ゲリラ兵士、特殊部隊」を指す。
 デマンドdemand(de=離れて+mand命ずる)は「渡せと命ずる」から「要求する、需要」である。経済用語としてだけでなく、一般にも「要求」の意味で使われる。



   comand          命令
   demand          要求する、需要

   comander        司令官
   comandament     神の命令
     mandate       命令書、委任統治
   remand          送還する(戻せと命ずる)

  commend          推奨する(共に託す)
  commendation     推挙
recommend          推薦する(もう一度託す)
recommendation     推薦、忠告


コレクション
(lect,leg=選ぶ、集める、読む)
ラテン語legere pp-lectus



 「パリコレクション」は、流行の最先端であり、情報発信地である。パリコレと略すこともある。そのコレクションcollection(col=co=一緒に+lect
=集める+ion)は、「一緒に選び集める」から「収集」である。
 某銀行の「広末セレクション」のセレクションsellection(se=別々に+lect=選ぶ+ion)は、「選び分ける」で集めたものではなく、広末涼子が「選んだもの」である。エレガントelegant(e=ex=外に+leg=選ぶ+ant)は、「選び出す」から「洗練された」が生まれた。
 この語幹lectは、「(言葉を)集める」から「読む」を派生させた。背景には、「読む」ことは、「言葉を集める」という考え方がある。レッスンlessonは、この「読むこと」から「授業」となった言葉である。



    collection          収集
    sellection          選択
      elegant           洗練された
       lesson           授業
       lection          朗読(読むこと)
       lecture          講義(読むこと)
    collect             収集する(共に集める)  
  recollect             思い出す、再び集める(再び集める)
      elect             選ぶ(外に選び出す)
      election          選挙
     select             選ぶ(選び分ける)
  intellect             知性(善悪の間を選別する)
    neglect             無視する、怠る(集めない、選ばない)

       legend           伝説(読まれるもの)
       legible          読みやすい
      eligible          適確の(選ばれる資格のある) 
     deligent           勤勉な(せっせと選び分ける)
  intelligent           理知的(二つの物の間を選別する) 
    negligent           怠慢な

コンディション
( dic,dict,dit=言う)
ラテン語dicere



 「グランドコンディション」などのコンディションcondition(con=共に+dit=言う)は「共に言う、言い添える」から「条件、状態」を意味し、「今日は体のコンディションが良い」のように「心身の状態、体調」の良し、悪しのを言う時も使う。エアコンはair conditionerの邦略形で「空気の状態を保つ」より「冷暖房」である
 授業前に突然よくやらされた漢字や英単語の「書き取り」テストをディクテ-ションdictationと呼ぶ。これは「口で言ったもの,口述」から来ているので「先生が言った言葉を書き取るテスト」のことだ。
 「字を引く書なり」と覚えたdictionary(dic=言う+tion=名詞語尾+ary=集合名 詞)は「言葉を集めたもの」から「辞書」




   condition        条件、状態
   conditioner      冷暖房
      dictation     書き取り
      dictionary    辞書

      diction       語法(言い方)
  benediction       天の恩恵(良い言葉)
  malediction       悪口、呪い(悪く言う)
      dictate       命令する(口で言う)
      dictator      独裁者
contradict          矛盾する、否定する(反対を言う)
     edict          命令(外に言う)
 interdict          禁止する(間に入って言う)
   predict          予言する(前もって言う)
   verdict          判決(真実を言う)

    abdicate        放棄する(離れると言う)
    dedicate        献納する(御身の下に置くと言う)
    indicate        指し示す(に向かって言う)
   predicate        断定する(前もって宣言する)

    index           索引(指し示すもの)

コンテスト
(test=証拠)
ラテン語testis



 ミスコンのコンはコンテストの日本的略だ。コンテストcontest(con=共に+test=証拠)は「共に証拠を出し合う」から「一緒に競う、争う」である。
キリスト教のプロテスタントProtestant(pro=人前で+test=証拠)は「公衆の前で反対の証拠を示す」より、カソリックに対して「抗議する人達」であり、新教徒を言う。
 「試験」のテストtestは「金の性質などを試すために用いられた土製の壷」からで、語源が違う。




 contest            コンテスト、競う
 Protestant         プロテスタント

    testament       遺言状、旧約聖書(証拠となるもの)
    testamentary    遺言の、旧約聖書の
    testate         遺言者
  intestate         遺言無しの
    testify         証言する(証拠となす)
    testimony       証拠、証言
 contestant         競技者
  attest            証明する
  attestation       証明
  attester          立ち会い証人
  detest            ひどく嫌う(神を呼び出して悪を呪う)
  detestable        忌まわしい
  detestation       大嫌い
 protest            抗議する
 protestation       抗議

コンビニ
(ven,vent=来る)
ラテン語venire



  コンビニは、現代の生活に欠くことの出来ない便利な店だ。convenient
storeの略でconvenient(con=一緒に+ven=来る+ient=形容詞語尾)の原義は「一緒に来る」であるが、「適合する」から「便利な」意味が変化したものだ。
 今、流行の「ベンチャ-ビジネス」のベンチャ-(venture)は、アドベンチャ-(adventure)の短縮形で、(ad=~の方へ+vent=来る+ure=名詞語尾)「~の方にやって来る」「偶然の出来事」から「何が起こるか分からない事に賭けてみる」「冒険」となる。仏語のアバンチュ-ルは、「偶然の出会い」である。
 「イベントを催す」のイベントは、event(e=ex=外に+vent=来る)「起こり来るもの」から「事件」「催事」である。




   convenient           便利な
    adventure           冒険
      venture           ベンチャ-
     event              事件、催事

 intervene              介入する(間に来る)
 supervene              併発する(上に付随して来る)
   convene              招集する(共に来る)

   convention           慣習、会議
    invent              発明する(あるものの上に来る-思い付く)
   prevent              妨げる(前に来て行く手を阻む)

     avenue             大通り(へ来る道)
    revenue             歳入 (再び戻って来る金)
   souvenir             お土産 、形見(心に近く来る-思い出す)

コンピューター
(pute=考える)
ラテン語 putare



 パソコン、ファミコンのコンはコンピューターcomputer(com=一緒に+pute=考える)だと知っているが、「数字と一緒に考える機器」が語源であることは余り知られていない。数えるのカウントcountもラテン語computareが古仏語counterを経て英語になったもの。カウンターcounterは「お金を勘定する所」であるがラテン語contraから出来た同じスペルcounterは「反対、逆」の意で多数の合成語があるので注意を要する。
 お笑いのコントconteはフランス語だが、この「考える」から「小話、短編」。




computer           コンピューター
count              数える
counter            勘定台

compute            計算する
computation        計算
 depute            代理を委任する(考えを下にする)
 deputy            代理者
 deputation        代表団
dispute            議論する、論争(考えを異にする)
 impute            罪を負わせる(罪は~にあると考える)
 imputation        罪の転嫁
 repute            ~であると思う、世評(再び考える)
 reputation        評判
 reputable         評判の良い

コンプレックス
(pli,pli,ply,plex=折り重ねる)
ラテン語plicare



 「コンプレックスを抱いている」のコンプレックスcomplex(com=一緒に+plex=折り重なる)は「一緒に折り重ねる」から「入り組んだ、複合した」「固執観念」である。日本語では、inferior complex=劣等感の略で用いる場合が多い。(superior complex=優越感)
 「ウインド-デイスプレイ」のデイスプレイdisplay(dis=別々に+play=折り重ねる)は「重なりを別々にする」から「陳列、展示」となる。レプリカreplicaは、「元に重ねかえす」より「複製」。プリ-ツ(スカ-ト)pleatは、正に「折り重なり」の意味である。アップリケappliqueは、仏語であるが、「に重ねる」が原義で切り抜きを縫い付ける手芸の一つ。




    complex          コンプレックス
    display          陳列、展示  
     replica         複製
       pleat         ひだ

     apply           応用する、申し込む(の上に重ねる)
     imply           暗に示す(中に重ねる)
     reply           返答する(重ね返す)
    simple           単純な(一つ重ね)
    double           二重の
    triple           三倍(にする)
  multiple           複合の(たくさん重なっている) 

       pliers        やっとこ(折り曲げる道具)
    complicate       込み入った(共に折り重ねる)
     explicate       明らかにする(折り重なりを外に)
     implicate       意味を含む(中に重ねる)
    supplicate       嘆願する(下に体を折り重ねて)
     duplicate       二倍にする
    triplicate       三倍にする

     employ          雇う(仕事の中に折り重ねる
     diploma         卒業証書、公文書
     diplomacy       外交

コンペ
(pet=飛ぶ、求める)
ラテン語petere



 ゴルフのコンペはcompetition(com=一緒に+pet=争う)の日本語の略で、「競う、争う」はラテン語にはないがフランス語を経由して「一つのものを求めて共に飛ぶ」から「競う、争う」が生まれた。細長い三角の旗のペナントpennantは中世の騎士が槍の先につけていたもので「める、争う」印ある。また「優勝旗」転じて「ペナントを争う」のように「優勝」の意でも用いられる。
 リピートrepeat(re=再び+peat=求める)は「再び求める」から「繰り返す」である
 字を書くのに必要なペンpenは「飛び掛かる」「空を飛ぶ」「翼」と変化し、ペンの起源が羽根ペンだと知るとなるほどと頷ける。



   competition     競争、競技大会
      pennant      優勝旗、優勝
    repeat         繰り返す
      pen          ペン

      petition     嘆願(する)
    appetite       食欲(求める気持ち)
    appetent       熱望せる
   compete         競う
   competent       十分な資格ある、有能な
   competence      資格、資産(競争に十分適している)
    impetus        勢い、はずみ(求めて飛び掛かる)
    impetuous      急激な、性急な
   perpetual       絶え間ない、永久の(ずっと求める)
    repetition     反復、暗唱
centripetal        求心の(中心を求める)

コンベヤー
(vi,voy=道)
ラテン語via



 チャップリンの'モダンタイムズ'に出てくるコンベヤーconveyer(con=共に+vey=道)は近代産業の非人間的なものの象徴だ。原義は「道を共にする」からで「運ぶもの」になった。
 貿易用語のインボイスinvoice(in=on=上に+voi=道)は「道上に置く-送る」から「送り状」で送る商品の明細を書くものである。外国へ送る郵便にはVIA AVIONと印刷されている。これは仏語で「航空便で」であり、万国に通じる。




 conveyer           コンベヤー、運搬人
  invoice           送り状

    via             道、経由で
 trivial            つまらない事(三本道)
  deviation         脱線、誤差(道から離れる)
  obviate           未然に防ぐ(道でぶつかる-通さない)

  obvious           明白な(路上近くに横たわる-目につく)
 pervious           通過する、明白な(道を通り過ぎる)
 previous           以前の(前の道を行く)
  devious           辺鄙な(道から離れている)

    voyage          航海、旅
 convoy             護送する(道を共にする) 
  envoy             特命全権大使

 convey             運搬する
 conveyance         運搬、譲渡証書


サーキット
(it=行く)
ラテン語ire



 車のスピードを競うF1レースは同じコースをぐるぐる回る。その環状コースをサーキットcircuit(circu=周り+it=行く)と呼ぶ。
 「名前の頭文字」等によく用いるイニシャルinitial(in=中に+it=行く)は「中には行って行く」が原義で「手始めの、最初の」からである。その名詞イニシエーションinitiationは宗教での「入会の際の洗脳」の意味で用いられている。「洗脳」が強く印象にのこるが「開始、入会式」を意味する。形容詞のイニシャチブinitiativeは「イニシャチブを執る」のように「主導権、率先の」を意味する



circuit            サーキット
   initial         頭文字
   initiation      入会式
   initiative      主導権

     itinerate     遍歴する
     itineracy     巡回
     itinerant     旅回りの、巡回者
     itinerary     旅行記、旅程
  ambit            周囲、境界(周りを行く)
  ambition         野心(名誉を求めて歩き回る)
  ambitious        野心的
   coition         性交
   initiate        始める、入門を許された、入会者
transit            通過する(横切って行く)
transition         変遷
  
transient          一時的の
  perish           滅ぶ、枯れる(完全に行ってしまう)
  perishable       枯れ易い、破壊すべき


サ-クル
(circ,cyc=環)
ラテン語circus



 学生の間では「サ-クル活動」が盛んだと聞く。特に運動部に入ると時間が制約され、キツイことが理由とか。サ-クルcircleは「気楽に楽しむ同好会」をいうが、その基本の意味は「円、環、輪」である。サ-カスcircusは、空中ブランコなどの曲芸を意味するものではく、そのテントのかたち「円形」からだ。ロンドンの「ピカデリ-サ-カス」などのように「サ-カス」の付いた地名がよくある。放射状の道路の中心「円形型広場」のことである。
 サ-キットcircuit(circ=円+it=行く)は同じ道路を何回も「循環する」からである。サイクルcycleは景気や周波などの「循環」を意味し「自転車」もある。「自転車に乗ってサイクリング」でも分かる。



    circle           サ-クル、環
    circus           サ-カス             
    circuit          サ-キット
    cycle            サイクル、循環

    circular         円形の、回覧
    circulate        循環する
    circulator       循環器 
    circulation      循環
    circlet          小円

    circumference    周囲(周りをめぐること)
    circumspect      用心深い(周囲をよく見る) 
    circumstance     環境(周囲に立っているもの)
    circumlocution   婉曲(遠回しに言う)
    circumfuse       周りに注ぐ

  bicycle            自転車(二輪車) 
 tricycle            三輪車 
  encyclopedia       百科事典(ぐるっとまとめたもの)
    cyclone          サイクロン
    cyclometer       測円弧器(輪を回して測るもの)
    cylinder         円筒


サ-ビス
(serv=仕える、保つ)
ラテン語servire=仕える、servare=保つ



 日本語で「あの店はサ-ビスが良い」のサ-ビスserviceは「お客に対するもてなしが良い」の意味サ-ビスは「召し使いの奉仕」が原義である。「値引きする」意味でサ-ビスを使うのは日本独特なので要注意。その動詞サ-ブserveはテニス等の球技を始める時の第一打を言うが「仕える」から「試合の始めにお願いする」という謙虚な気持ちの表現だ。
 リザ-ブreserve(re=元に+serve=保つ)はウイスキ-の商標にもなっているが「元に引っ込めて保つ」より「保留する、予約する」である。
 コンサバは服飾用語で馴染みがないかも知れないがconservative(con=一緒に+serve=保つ)の日本的略語で「保守的」から「伝統的格調高い」という意味でファッション雑誌に登場する。食後のデザ-トdessert(des=離れて+sert=仕える)もこの仲間出「給仕を離れる」から「食事の終りに食べるもの」の意になった。



     service        サ-ビス
     serve          奉仕する
   reserve          保留する、予約する
  conservative      保守的な
  dessert           デザ-ト

     servant        召し使い(仕える人)
     sergeant       軍曹(仕える人)
  conserve          保存する
  conservatory      温室(保存する所)
   deserve          に値する(十分に尽くすに値する)
   observe          見守る(目の前に保つ)
  subserve          追従する(下にあって仕える)
  preserve          保存する(前もって保つ)
   reserved         控え目な(自己を引っ込めて保つ)
   reservoir        貯水池、貯蔵所


サイン(sign=しるしをつける)
ラテン語signare



 芸能人などに「サインをお願いする」はMay I have your autograph, please.
でサインは使わない。英語のサインsign「署名する」の動詞で、書類やホテルでの署名はsignatureである。また野球で捕手が投手に「サインを送る」はシグナルsignalを使う。もちろん「信号機」もある。
 デザインdesign(de=下に+sign=印をつける)は「印をつけて計画する」であり、デザイナーdesignerというと服飾デザイナーを指す場合が多いが「計画する人」から「設計者、図案家、陰謀者」である。



    sign            合図、記号、署名する
    signature       署名
    signal          信号機、合図する
  design            計画する、計画、意匠
  designer          設計者

    signet          印章
    signify         象徴する、意味する
    significant     意味の深い
    significance    意味深長
  assign            割り当てる(に印をつける)
  assignment        割り当て、宿題
 consign            委託する、預金する(共に署名する)
 consignment        委託
 consignee          荷受人 
  resign            辞職する(再び署名する
  resignation       辞職(表)
  designate         支持する、選任する
  designation       支持、選任

シリーズ
(sert=結ぶ、置く)
ラテン語serere, pp.sertus



 新聞の連載物、映画の「寅さんシリーズ」や野球の「日本シリーズ」など一連のものseriesは「結合したもの」の意味だ。音楽会のコンサートconcert(con=共に+cert=sert=結ぶ)は「共に結びついて」開催されるものであり「協調、一致」もある。ワープロのキーボードには文字間等に挿入するキーにinsert(in=中に+sert=結ぶ)とある。「中に結びつける」から「挿入する」である。



    series          シリーズ、連続
 concert            音楽会、協調 
  insert            挿入する

    serial          連続する、続き物
    seriate         連続的に配列する
    serried         密集した(結ばれ固まっている)

   asert            断言する(自説に結びつける)
   asertion         主張、断言
   asertive         断定的
  desert            捨てる、不毛の、砂漠(結合を解く)
  desertion         捨てること、荒廃         
 dissertation       学位論文(別々に分けて論ずる)
  insertion         挿入、記入
   exert            発揮する(力を外に出す)
   exertion         発揮、努力

スケール
(scan,scend,scal=登る)
ラテン語scandere



 スケールscaleは「目盛り、ものさし、規模、度量」などを意味するがもう一つ「はしご」がある。そして動詞の「はしごを登る」が原義である。「天秤ばかり」は古いノルド語からで別語源。
CTスキャンcomputer tomography scanはコンピュターで脳などの断層面をテレビ走査する装置でスキャンは「一歩づつ登る」が原義である。スキャナーscannerは絵や文章の情報をデジタルに変換する装置「読み撮り機」でその読み取る様は「一歩づつ登る」である。
 エスカレーターescalator(e=補助語+scal=登る+tor)のtorはエレベーターelevatorの語尾を付け語呂合わせしてできた造語である。エスカレーションescalationはこのエスカレターから近代に生まれた新語。



      scale         目盛り、規模
      scan          スキャン
      scanner       スキャナー
     escalator      エスカレーター
     escalation     漸次拡大

     escalade       はしご(を登る)
     ascend         登る、出世する
     ascent         上昇、上り坂
     ascendant      上昇する、祖先(系図を登る)
     ascensive      上昇的
     ascendancy     優勢、支配
    descend         下りる
    descent         降下、下り坂
    descendant      子孫(系図を下る)
 condescend         目下にへり下る(相手とともに下る)
 condescension      目下にへり下ること
  transcend         超越する(越えて登る)
  transcendent      卓越した
  transcendental    卓越した、超人間的
  transcendence     超越