これは僕がまだ中学一年生だったころの話。

生徒が描いた美術の作品の展示会が体育館であって、放課後だったか美術の時間だったか忘れたけど、それを見てた。三年生の「川」がテーマの絵が貼ってあった。

「どれも下手くそやなぁ。下手くそというより雑や。」

とか思ってた。僕の母校は不良ばっかで真面目に描いてる人なんて数えるほど。でも、一人だけめちゃくちゃ上手いのがおった。なんと、バスケ部の先輩やった。

「あの先輩はこんなに絵が上手いんかぁ。」

と感心しながら眺めてた。

後日、先輩らと部活の帰りその話になった。

僕 「そういえば、あの絵めっちゃ上手かったですね!」

先輩 「あぁ、あれ、おかんから買ってん。おかんが、「500円。」って言うから、500円払ったらあの絵が買えた。」

僕 (゜д゜;) 「じゃあ、自分で描いたんじゃないんですね?」

先輩 「当たり前やん。美大行ってる人に描いてもらったって言ってた。」

僕 (ほかの先輩に) 「え?二人とも知ってたん?」

キャプテン 「あぁ、分かってたよ。こいつあんなに絵うまないし。」 (笑)

僕 「なんやー。」

そのまた後日、委員会の集まりで

前で生徒会長が話してるときに、そのおかんから絵を買うた先輩が紙ヤスリでハトサブレみたいな形した木をなめらかにしとったら、泣く子も黙る生活指導の先生が近づいて行った…。

「ヤバい。絶対キレられる。」

と思った。後で聞いたらその先輩もそう思ってたらしい。その先生が近づいて行ってたとき、めっちゃだるそうな顔してたし。

先生 「美的センスのあるY君、今はちょっとそれ片付けといてもらえるかな?」

「えええぇぇ!?いつもとキャラ違うんですけど!?」 (心の声)

先生、絶対あの絵を見たんだろう。そして、美術に打ち込んでるちょっとヌケた子だとでも思ったんだろう。

いつもやったら

「おいこら、なめとんか?今何してるときや?しまえ。」

って感じやのに。そして、生意気な生徒だったらビンタの一発でも食らわして他の先生が止めに入るのに。(笑)

美的センスのおかげで命拾いした先輩であった。