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一回目のワクチンを打って、反応が出ているあいだに、心理学の本を集中的に読んでいた。


もっとも、私は、心理学が心のすべてを解決してくれる、などとは思っていない。むしろ、心理学が学問として認められるようになった、ということは、われわれの思考がそれほど科学中心化していることの結果だ。一世紀も前から、そうなっている。


現代人は、なんでも、科学的な根拠が与えられなければ、現象を信用しなくなっている。

しかし、そうであるにもかかわらず『科学がすべてを解決してくれる』とか『心理学が心のすべてを解明してくれる』などといった言説に、われわれは、心のどこかで、反発を感じるものだ。


ワクチンが一連の問題解決してくれる、ということは、事実だ。

しかし、じゅうぶんな感染対策をやらずに、わが国にワクチンが導入されなければ収束しなかった、ということならば、科学万能主義への信頼を強めてしまう。人間よりも、科学への信頼のほうが強力なものとなってしまうのだ。


ニュージーランドのように、徹底的な対策で、コロナを収束させた国もある。ニュージーランドでは、ドライブスルーでコロナ検査ができるようにして、ワクチンも早い段階で導入していた。

これは、科学の成果というよりも、人間の努力の勝利だ。

(つづく)