APOCALYPSIS OF REDON
「REDON」の予告通り、アロッタファジャイナ第九回公演「ルドンの黙示」を観て来ました。《豆知識》
取り敢えず今から観に行く人は、開演前に必ずトイレに寄っておく事をオススメ。
二時間近くあるのに、休憩無しのノンストップだからです。それと可能ならば小さな座布団を持参するのもいいかもしれない。新国立劇場のシートはあまり弾力性が無いので、二時間ぶっ続けで座っていたらお尻が痛くなります。
座席に関して。私の席はステージから向かって真正面の割と後方だったのですが、小劇場は思ったよりかなり狭く、今公演ではステージがセンターにあるので(全方向に客席がある感じ)最後部の座席でも目算で約6mほどしかステージとの距離はありません。
その上客席はひな壇になっていて、ステージはいわゆる蟻地獄の底に位置するので、L,M,N列辺りの座席なら、丁度役者と同じ目線になります。
つまりオペラグラスはまるで必要がありません。逆に近すぎてビックリするくらいです。
あんまり細かく書くつもりは無いんですけど、ここから先はもしかしたらネタばれを含む可能性がありますので、これから観劇する予定で、ネタばれ読んでもそれなりに楽しめるって人以外は読み進まないで下さい。
《総評》
役者 ★★★★☆
脚本 ★☆☆☆☆
演出 ★★☆☆☆
音楽 ★★★☆☆
《演出に関して》
期待していたものの一つに「Psalmの音楽」というのがあったのだが、これが予想外なほど生かされていない感があった。脚本・演出の松枝さんによる8月6日付のブログでようやく初稿が完成したという報告にも正直驚いたが(公演まで二週間ちょいしか無いと言うのに遅すぎじゃないか?と思った。)、時間の無さが招いたやっつけ演出になった感が否めないと言うのが正直な所。
全体的に音楽が足りない。「Psalm」の音楽も、「MOKUさん」の音楽も素晴らしいのに、それをもっと生かすべきだったと思う。音楽が語るキャラクターの感情というのもあって然るべきだし、特にこの作品では「シハージャの支配する世界」「少年ルドンの生きる世界」「女流作家沢田の生きる世界」という次元の異なる三つの世界が存在するわけだから、それを明確にする為にも、音楽を使っての効果は導入すべきだった。
それと一番「何とかならんかったのか?」と思うのが、今しがた死んだ人間が、場面転換でトコトコ歩いて袖へ戻っていく事。舞台を暗転させるなり、他のキャストに運ばせるなりして「死んだ」という事を観客に認識させたまま去るべきじゃないのか?
舞台開始に至る部分も、「始まった!」という認識が曖昧すぎる。緊張感がまるで無い。
《世界観について》
この物語の中には三つの世界が存在する。
「シハージャの支配する世界」「少年ルドンの生きる世界」「女流作家サワダの生きる世界」
この内、「シハージャの支配する世界」「少年ルドンの生きる世界」は現実では無く、「女流作家沢田の生きる世界」これが唯一の現実世界だ。
予め注意書きを施したので、思い切ってネタをばらすが、「ルドン」という少年は「女流作家サワダ」の描いた小説の中の住人であり、彼もまた彼女の物語の中で小説を書いている。
そしてルドンの描く小説の中の住人が、「シハージャの支配する世界」の人々なのだ。
が、キャラクターが三世界を通して全く同じ衣装で登場する為、「語り部」と称して現れる人物達の解説が無ければ容易にその事を理解出来ない。またその語り部が、「シハージャの支配する世界」の住人衣装のまま、次元の違う世界を解説したりする為、観客を混乱させる。
三つの世界を表現する視覚的な区別が圧倒的に足りなかった。演出に関しては素人同然の私が思いつくような事を何故プロの演出家が出来なかったのか。
それもやはり、脚本の上がりが遅すぎたが故の時間の足りなさによるところが大きい気がする。
《脚本について》
タイトルロールであるルドンと、マリコの関係性があまりに希薄だ。これならば別にマリコの存在など必要ない。
「自分が書いた黙示によって人々が次々に死んでいく」という現実を見せ付けられ、どうにか世界を変えようと希望に満ちた物語を語り始める方がしっくりくる。
私なら姉ナオとの関係を最初から深く描いて、あの結末に繋げていくと思う。
舞台として見せるならそのストーリー内にはちゃんとした軸となるものが必要なのだが、それが無かった。だから結果的に「何が言いたかったんだ?」という感想を招くことになる。
脚本単体で見た場合、これもやはり時間の無さが招いた煮詰め期間の足りなさを強く感じる。
もう少し練れば物語自体の出来は決して悪くなかった(というよりストーリーとしては面白かった)だけに勿体無い。
それと主要な女性キャラの名前が微妙に被り過ぎる。
シハージャの将軍ケアルガの妹(満島ひかり)がマリア。虐げられる民カソーミの族長(安川結花)がマレア。
野戦病院に運び込まれる少女(加藤沙織)がマリコ。
なんでそこまで「マ」にこだわったのか…。
《役者について》
個人的には柳を観に行ったつもりだったが、演技と言う面で一番目を引いたのが、植木紀世彦だ。
植木さんは「ホーリーランド」の頃からいい演技をする役者さんだなぁと思っていたが、今回もこの穴だらけの脚本・演出の中で素晴らしい演技をしてらっしゃった。
それから満島ひかり。彼女の演技力には観る前からある程度安心していたが、マリアというこの脚本においてはその心理的推移が不可解極まりない役柄を見事に表現していた。
↑これに関しては設定をもう一度紐解いたら納得した。
それと三元雅芸。彼もやっぱりいい演技をしてた。まぁ台詞を噛んだのは仕方が無い。
マレアを演じた安川結花も良かった。
そしてやはり篠田光亮。この人は本当にいい。個人的には柳を観に行ったつもりだが(しつこい)、私、やっぱりこの人好きだなぁ、と再確認した。今回の登場人物の中では、桁はずれに格好いい。
今後、この人の舞台を重点的に観に行きたいと思うくらいに。
でもやっぱり私は柳なんだな。だから早く次の出演作が決まって欲しいと思う次第。
※全体的に役者の演技はどれも良かった。特にシハージャ、ドレ王国サイド。
で、肝心の柳だが、正直思ったよりも後遺症は回復していなかった。
もしかしたらもうこれ以上良くなる事は難しいのかも知れない。ブラックジャックでもいない限りは。
けれど、表情や仕草と言った演技には、かつて初演で越前リョーマを演じていた時の彼を髣髴とさせるものがあり、演技自体も今までテレビや舞台で見てきたどれよりも生き生きしていたと思う。
惜しむらくはやはり脚本か。
ルドンと言う少年のキャラクター設定が曖昧すぎた為に、柳の演技にも多少ばらつきが出てしまっていた。
(ばらつきがある中でも柳はいい演技をしていたけれど)
柳は、多分底抜けに明るいキャラクターを演じたら、きっと色んな方面からの評価に変化が出ると思う。
《カーテンコール》
何かもう…とにかく柳が面白かった(笑)
例えば…。
柳「えーと…この遅い時間の公演に来ていただいてありがとうございます…と言いたいところなんですが……(数秒真が空く)…あ、いや…(苦笑)ありがとうございました!」
なんだ!?一体何を言おうとした!?(笑)
まぁこの子は素で喋ると余計な一言を言う癖があるので、きっと自分で自覚していて自粛したんでしょう(笑)
そんでその後、みっちゃん(篠田)が、挨拶しつつ物販で色々売ってますよ、的な事を宣伝するのですが、その中で
篠田「今回音楽を担当してくれたPsalmのCDを販売していますので…」と言った後に、改めて「Psalm」の紹介をするのですが、アンコールに応えて二度目のカーテンコールになった時…。
柳「(演奏中のPsalm二人を示しながら)えー今回音楽を担当していただいたPsalmです」
みっちゃんがすかさず「さっきもう言ったから(笑)」というような仕草をしながら後ろの柳を振り返ります。
(カーテンコールはステージ上に輪を作るようにキャストたちが並んでいるのです。みっちゃんと柳はお互いが背を向けている状態)
その後漸くまともな挨拶になったかと思いきや、
「本日はありがとうございました。音楽はPsalmです」
お前はPsalmのプロモーターか(笑)!
その様なPsalm持ち上げネタが合計三回ほどありました(笑)
私の座席はステージから見てど正面だったんで、ステージ上ど真ん中にいる柳とは彼の身長的に目線が一緒になるのですが、思わず目が合ってしまい、もうドッキドキで、慌てて視線をみっちゃんの後姿へ移しました。
だって直視するにはあまりに綺麗な目だったから。
《あとがき》演出や脚本に不満はあるけれど、あんなに近くで柳 浩太郎やみっちゃんを観れたのが凄く幸せでした。
そういうのも舞台の醍醐味だな。
それと開演三十分前にして客席がガラガラだったので、大丈夫かなぁと思ってましたが、最終的にはサイドシートを除いてほぼ満席でしたね。
私のすぐ後ろと一列前ににいた方は恐らく業界関係者だと思いますが、誰だか解りません…。
※色々探索した結果、どうやらこの日は加藤良輔君が観に来ていたようですが。
※上の画像はパンフレット。下の画像は今日始めて乗った東京メトロ副都心線。