書類の整理をしていたら、

青空書房店主さかもとけんいちさんの「家庭内通信」が出てきた。

 

さかもとさんの遺稿集『けんいちから和美へ 青空書房店主の妻恋記』刊行の時、

大阪の京橋画廊で開催した遺作展で掲示したもの。

オリジナルをコピーしてラミネート加工を施してある。

 

 

「家庭内通信」はさかもとさんが和美さんへ宛てて書き綴った家庭内の連絡帳

みたいなもので、連絡事項だけではなく、そのときどきに伝えたい妻への想いが

あたたかい文体で綴られている。

「今日はクリスマスイブ なんど愛しているといっても良い日なんだ」

さかもとさんはかつて、「面と向かって言えないことでも、通信なら

ヌケヌケ愛してるとか、書けますから」と笑って話してくれた。

 

 
通信にはイラストも描かれていたりして、このさかもとさんと和美さんが
チュッとしている可愛いイラストは、さかもとさんの自筆とともに、
イラストレーターのひやまちさとさんが遺稿集の表紙デザインに使ってくださった。
忘れられない思い出である。
 

 

ページをめくってみる。

ホスピスに入院中の和美さんに宛てて、けんいちさんが毎日書き送った絵手紙。

どれもすべてが素晴らしくて、この本を作るとき、絵手紙だけは絶対に全部

掲載しようと思った。

多忙な古書店業務の合間に、けんいちさんが妻・和美さんへいっぱいの愛情を

こめて書き上げポストに投函。書き足りなくて2通も投函している日もある。

読んでいると涙が止まらない。

 

青空書房は人と本、人と人をつないでくれる店主がいる陽だまりのような所だった。

ここでさかもとさんに紹介されたひやまちさとさんとは、これまでも何度か

一緒にお仕事をさせていただいた。

そして、この本をご一緒に作ることが私たちのさかもとさんへのこころよりの

供養になればと、そんな気持ちを込めてこの遺稿集を作ったことも

昨日のように思い起こされる。

 

在庫はすくなくなったけれど、

さかもとけんいちさんの遺稿集『けんいちから和美へ 青空書房店主の妻恋記』

(あざみエージェント刊)は、現在もamazonあざみエージェントBASESHOPで販売中です。

 

夫婦のかたちって、本当に千差万別。

「妻は一億人の中から巡り合えたたった一人の人。

 子供はほっといても血がつながってるけど、

 妻は奇跡のようにめぐりあえた他人。

 だから大切なんだ、だから愛おしい」

けんいちさんの和美さんへの愛の深さにいつも心を打たれる。