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kaze no tanbun 特別ではない一日
1,980円
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amazonで注文していた本が届いた。
『kaze no tanbun 特別ではない一日』
17人の小説家や翻訳家、漫画家など様々な創作活動をしている人たちの
特別ではない一日を収録したアンソロジーである。
アンソロジー中、読んでみたかった「Yさんのこと」が収められていた。
この一文は第112回文學界新人賞を山内令南さんと同時受賞された
小説家の水原涼さんが書いたものである。
同時受賞した直後に亡くなったYさんについて、
作家としての複雑な心境が綴られていて興味深い。
この本の存在を知ったのは、今年の年賀状。
山内令南さんの著作権継承者のFさんから「年末に令南さんと同時受賞された
作家の方から 彼女のことを書いた本が送られてきました」と添え書きのある
年賀状が届いた。 私は興味をもったものの、直接、Fさんに問い合わせることは
しなかった。ところが、ここに来て、山内令南さんに呼ばれたのではないかと
思われることがいくつか身辺で発生したので、先日、思い切ってFさんに
電話を入れてみた。 「私、なんだか山内令南さんに呼ばれた気がするんです」
というと、Fさんも「私もそうなんですよ~」とのこと。
水原涼さんの「Yさんのこと」の中に、
「私が読んだYさんの作品は、受賞作と翌月に発表された第一作だけで、
複数つかい分けていたというた他の名義の作品や、没後有志によって
出版された作品集も手にとってはいない」というくだりがあった。
この没後有志によって出版された作品集というのが
2013年に、あざみエージェントから刊行した
山内令南作品集『夢の誕生日』である。
Fさんは、小説家にこの作品集を送るつもりだとおっしゃっていた。
「できればお墓参りもご一緒に、ってお誘いしてみようかな」とも。
私はこの作品集制作にあたって、Fさんに案内していただいて行った
山内令南さんのお墓のことを思った。
小さな慎ましやかな墓所にひっそりとあった山内さんのお墓。
ひっそりと、だが静かな意志で建っているような、まるで彼女そのものの
ようなお墓だった。
私は今、出版社の会員誌「あざみ通信」の編集にとりかかっている。
なぜか、次号には山内さんのことを書こうと決めていたので、
この本の存在はとてもタイムリーだ。
Fさんに託された、山内令南さんの未発表原稿。
闘病中に自室でノートに書き継いでいたもの、明らかに病床で書かれたもの。
カレンダーの裏に書かれた走り書きに近いものまで、様々な形や大きさの
紙媒体。
衰弱して筆圧が弱く、どうしても読めない文字もある。
だが、辛抱強く、一篇一篇、解読していこうと思う。
解読ができたエッセイのひとつを、次のあざみ通信に掲載
しようと思っている。
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夢の誕生日―山内令南作品集
1,760円
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