【新日本ファクトチェックセンター】
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前回記事(その88)に引き続きインボイス関連の考察を。

 

まずは以下のニュースから。



■立憲民主党の枝野議員が復権へ向け再始動?

以前から支持者の一部が党首を猛批判して敵視するなど「内ゲバ気味」の傾向が顕著だった立憲民主党。

そこで前党首だった枝野議員が復権予告をしている模様。

【内ゲバ開始】立憲・枝野、復権始動開始「動きます」泉代表「・・・」パヨ右往左往の大混乱

 

翔子「まーた旧民主党政権の幹部の復権?他に人材いないんですかね?」



■日本のインボイス導入は海外と比べてどうなのか?

さて、本題のインボイスについて。10月1日から予定通りインボイス導入が開始された。

このインボイスが今後廃止される可能性は果たしてあるのだろうか? そのあたりを考察したい。

まず、この案件(インボイス)はマスコミ等での「出羽守」系の自称識者による、定番の「欧米に比べて日本は~遅れている~」論が異常に少ない傾向が顕著である。その傾向が「ちょっとなかなか見ない」レベルで突出している案件と言っていいだろう。

真琴「そう言われれば、確かにその通りですね」

翔子「何故そんな傾向が異常に強い案件なのでしょうか?

その理由を考察すると。

マスコミ(特にTV)等に起用される「出羽守」系の自称識者の大半は、基本的に「アンチ自民党」に偏りまくったスタンスである。

真琴「TBSのサンデーモーニングみたいなのが典型例ですね」

LGBTだのポリコレだのといったテーマでは「欧米では既に〇〇が常識、なのに日本ではまだ導入未済で、日本は◯十年は遅れている!」みたいな主張をドヤ顔で喋り、「これだから日本人はダメだ(欧米が正しい)!」と得意満面に語るのがこの手の「出羽守芸人」の「いつものスタイル」である

翔子「あー、まさにそんな感じです。あるある」

そしてこの案件では自民党は「インボイス導入推進」側なので、「アンチ自民党」のイデオロギーに最優先で従えばその手の自称識者達は「インボイス導入反対」の方向の主張をして世論を誘導したい訳だ。


ところがインボイスは、既に国際的なデファクトスタンダードである

OECD加盟国38カ国の中で消費税を導入している国は37カ国だが、その中でインボイス制度を導入していなかったのは「唯一日本のみ」であった。

国際的には「消費税導入=インボイス制度も導入」がとっくに「当たり前・常識」だった訳だ。

つまりいつもの出羽守スタイルの主張では「世界では既にインボイスが常識、日本もさっさと導入すべき」という結論になってしまい、「アンチ自民党」のイデオロギー的には実に都合が悪い。


これが、「本件で(アンチ自民党系)出羽守が異常にダンマリ」な理由である。

尚、もし「同じインボイスという名称ではあっても、海外と日本では制度や仕組みが大きく異なる」ケースだった場合。

そこを根拠として「海外のインボイスはこういう仕組み、しかし日本で導入するインボイスはこんな仕組み、中身は全く別物!だから日本のは全然ダメ!」みたいな論理?で出羽守芸人は「日本のインボイス」だけを必死にこき下ろして「だから日本のインボイスには反対」と主張する展開になるだろう。

ところが今回の案件はそういう主張もあまり見ない印象(実はあるのかもしれんが)。

その理由は、制度や仕組み上「日本のインボイスだけ海外と大きく異なる」みたいな要素はそれほどない、ということだろう。
特に日本の電子インボイスは国際規格「Peppol」に準拠した仕様で策定されている。制度全体を見ても国際的なインボイスの常識的な仕組みや考え方から大きく逸脱する要素は散見されない。要は「概ね国際常識に則ったまっとうな仕組みのインボイスを日本も導入推進している」ということ。勿論細かく見ていけば国によって制度の違いは当然あるが。

つまり「アンチ自民」という偏った(おかしな)イデオロギーに変に固執しない「本来の出羽守識者」ならば、「世界では既にインボイスが常識、日本もさっさと導入すべき」という主張に当然なるはずの内容と言える。

それがこの案件の国際的な立ち位置である。



■インボイス導入は「経理デジタル後進国:日本」のDX化推進の柱の一つである

日本のネット上ではインボイス導入の理由として主に「不正の防止」「公平な税負担」みたいな部分ばかり言われているような印象があるが、実のところ国の一番の狙いは「DX化推進」にあるのではないか、とワイは考えている。


はっきり言えば今の日本は紛うことなき【経理デジタル後進国】である。経理だけでなくお役所の業務などの電子化・一元化も遅れまくっており、未だに紙の帳簿とハンコでの運用が平然と残っているような状態で。

先進国どころかそのへんのASEAN諸国とか中進国の方が「日本より遥かに経理や公共システムの電子化が進んでいる」ような傾向は、誰も否定できない「現実」だろう。

日本は「経理デジタル後進国」として世界から笑われているような側面は間違いなくある訳で、その現実を直視すべき。


もし日本が鎖国して引きこもりの国運営をするのならば今のままでもいいかもしれない。

しかし、諸外国と商取引をし人的交流も盛んに行われている中で、企業経理についても現行の「帳簿方式」みたいなのを一体いつまで続けるつもりなのか? いつまでもそんなんでは世界の潮流から遅れて孤立してしまうのではないか。

真琴「資源の乏しい日本がそんな方向に進んだら将来はなさそうですね」

この「経理デジタル後進国:日本」の状況を打破して「デジタル先進国」に追いつく為に、日本は国を挙げて「DX化推進」の施策を計画・推進してきた訳だ。


電子インボイスの世界的潮流と海外進出日系企業に求められる世界基準の対応

 



たとえば「日本税理士会連合会」もとっくにインボイス制度賛成に回っているが、その理由がこの「DX化」だったと会長自身が証言している。


インタビュー「問題あればインボイス制度修正を」神津信一・日本税理士会連合会会長
2023年2月13日


>制度導入について、当初、日税連は反対していた。現行の「帳簿方式」で十分だと考えていたためだ。しかし、DX(デジタルトランスフォーメーション)という社会変革が進む中、このスタンスを見直す必要があると判断し、賛成に回った経緯がある。


実際、国はこれまでもDXサービス導入に「IT導入補助金」などの支援策を実施しており、企業のインボイス導入対応を支援してきている。

いわゆる「改正電子帳簿保存法」などもこうした「業務DX」の一貫として推進してきた訳で。


そしてこうした「大きな変化」には日本では残念ながら「抵抗勢力」がつきもので。
日本でも公務員労組やそれを票田とする左派政党などが徹底的に反対してきて、お役所業務の各種デジタル化は遅々として進まなかった。

個人事業主や中小企業なども、基本的には「今のままでいいよ」という人は非常に多い訳で、「デジタル化」への変革を進めるにはそれなりの「きっかけ・契機」がないとなかなか変革が進まないのが実情。なので今回は

【インボイス導入で、今までのやり方では通用しなくなった】→【IT導入補助金も出るし、これを機にウチもDX化のシステム対応するか】

みたいな流れを導く「荒療治」的な側面も実際あるのだろう。いい悪いは別にして、「そういうきっかけがないとなかなか変われないのが今の日本人」という指摘は「概ね正しい」だろう。


日本の「インボイス導入」は、こうした「国を挙げてのDX推進」という、中長期を見据えた巨大プロジェクトの数々の施策の一貫として、総合的な視点で計画され進められている訳だ。



■インボイス廃止の可能性は?

時代は変わる。世界は今も刻々と変わり続けている。

そうした中で「雑務が増えて面倒だから嫌」みたいな後ろ向き?な理由だけで、日本だけいつまでも変革を拒否し、デジタル化・DX化を拒否し、昭和の時代みたいな時代遅れの「帳簿方式」、ガラパゴス経理を永遠に継続する「後進国死守」の方向性が果たして現実的だろうか? 妥当だろうか?

本件は結局のところ、そういう話であろう。


ここまでの考察から見ても、インボイス制度は既に「国際的な常識」であり「日本もデジタル後進国を脱却して国を挙げてDX推進する」為の主要な柱の一つである。

今後も、「多少の変更」レベルならあり得る。移行措置の延長、特例期間の延長などといった「小細工」ならあるかもしれない。


しかし客観的に見て、1億2千万人の国民を擁する日本が、(もし同一人物の重複署名が一切ないと仮定しても)その中のほんの0.5%程度、たかが数十万筆程度の「ネット署名?」とやらで、既に運用開始したインボイスを今更「全面廃止」する可能性は「限りなくゼロに近い」と、ワイは判断せざるを得ない。

 

 




■政権交代すればインボイスは廃止できる?

上記のような考察に対しては、「いや、選挙で自民党を下野させ、政権交代して立憲民主党が政権に就けば、今からでもインボイスは廃止できるはず!」みたいな主張を熱心に訴える人も世にはいる模様。


さて、果たしてそれは「本当」なのだろうか? 考察してみたい。

まずそもそも、『インボイスの早急な導入』に誰よりも積極的で、それをガッツリ公約(マニフェスト)に掲げて政権の座についたのが、あの「民主党政権(主要メンバーで今も現役なのは大半が立憲民主党所属)」であった、という事実。


インボイス署名運動は不発 税金ごまかし運動に結集する無責任野党

 

 

>もとはといえば民主党政権が決めたこと。
>「2009年のマニフェストで『インボイスを早急に導入します』と公約してたのに、なんでインボイス廃止法案出したり #STOPインボイス 官邸前アクションに参加したりしてんの?」
枝野幸男「立憲民主党は民主党とは無関係の全く新しい政党です!(シュババババ)」


民主党政策集 INDEX2009

 

>インボイス制度(仕入税額控除の際に税額を明示した請求書等の保存を求める制度)を早急に導入することにより、消費者の負担した消費税が適正に国庫に納税されるようにします。


生姜教授「いや、それは10年も前の公約だろう。今は違う!」

果たしてそうだろうか?

民主党時代の主要な支持母体の代表格であり、立憲民主党の重要な支持母体でもある「連合」は、インボイスを「着実に導入すべき」とつい最近も公言している事実。

これは2022年11月29日のことであり、まだそれから1年も経っていないのだが。

連合・芳野会長、インボイス「着実に導入すべき」
2022年11月29日



そもそも2009年の民主党マニフェストは、「財源は?」「実現可能性は?」という点を無視して耳障りのいい政策を並べ立てただけの「ポピュリズム全開の公約」であったのは周知の事実。

 

 

 

 

たとえば消費税などは2009公約では「消費税率は上げない。4年間は議論すらしない」と公言していたのに、あっさり豹変して消費税率上げを決定したのが民主党政権だった。

そんな「ポピュリズム全開の公約」にすら、民主党は『インボイスを早急に導入します』とガッツリ明記していた。

当時もインボイス導入はそれほど国民受けのいい政策ではない(ポピュリズムの観点ではイマイチな)物だったと考えるが、それでも民主党はガッツリ公約にそれを明記していた。

つまり、それだけ「インボイス早期導入は日本にとって必要であり正しい政策である」と彼らは強く信じていた、ということだろう。

そうでなければ、あれだけ「ポピュリズム全開の公約」にこんな政策をわざわざ明記したりはしない。

連合の意向などを見ても、冒頭の枝野議員など立憲民主党の主要メンバーの大半は「今も本心ではインボイス賛成」なのは確実、と思われる。

翔子「では、何故彼らは今は(表向き)インボイス反対を主張しているのでしょうか?」

単純な話で。「自民党がインボイス賛成だから」「自分達が与党になる可能性は当面なさそうだから」。
「万年野党」の状態なら、「現実的」な部分は完全無視で、「ひたすら政局だけ」でいくらでも無責任な主張が許されるというだけ。



■たとえば「原発関連」など他の政策でも

一例を挙げてみると。

枝野議員など「旧民主党の立憲民主党議員」達は、「原発関連」でも「今は」表向き「原発反対」を訴えている、ということに一応なっている?

「原発推進派の自民党」に対して「原発反対の立憲民主党」という構図を、彼らは表向きは訴えている模様。


しかし彼らは民主党政権時代は、大飯原発の再稼働を強行し、脱原発派の市民から「再稼働強行の首謀者!」「原子力ムラの幹部!」「諸悪の根源!」として猛批判を浴びて、目の敵にされていた立場だった。

枝野議員なんかは当時は「原発推進(再稼働)首謀者の筆頭格の一人!」とさえ言われる立場であって。


【福井報告】 裏門からこっそり入った枝野経産相
2012年4月15日

 

>「エダノは帰れ」…シュプレヒコールが耳をつんざく
>枝野大臣はこの日、再稼働への理解を要請するために福井県庁を訪ね


【国会事故調】 詭弁弄する枝野前官房長官 「ただちに」追及され 
2012年5月27日 

 

>事故発生時から枝野官房長官が吹聴した「安全デマ」は、今なお政府への不信となって尾を引いている



つまり現立憲民主党の彼らは、政権与党(民主党政権)時代は「ゴリゴリの原発推進派」であり、「脱原発を切に訴える大勢の市民」の声を踏みにじり、自民党なんか比ではないくらいに強引に「大飯原発再稼働」を強行して実施していたのである。

そして「連合」もやはり本音では徹頭徹尾、原発推進であって。

原発は、もう選挙の争点にならないのか。立憲は「原発ゼロ」を言わなくなった【福島から10年】

 

>連合内で発言力の強い電力総連や電機連合は、原発の活用を訴える。政党合流の際には、連合の神津里季生会長が立憲の枝野幸男代表に、「原発ゼロ」という言葉を今後使わないよう釘を刺す場面もあった。


はっきり言おう。立憲民主党の主要幹部は、今でも本性は「原発推進派」寄りなのは明らかで。「原発ゼロ」を公約等では言わなくなったのもその事実を裏付けている。

もし立憲民主党が政権与党に返り咲くことがあれば、彼らはまた「原発推進派」の本性を現して「原発ゼロ」に反対するのは間違いない、と考える。


消費税も同様。政権与党時代(菅直人政権&野田政権)は「消費税率アップ」に賛成で「民主党政権こそが消費税率アップを決めた」のは紛れもない事実。

なのに下野して「万年野党化」してからは180度豹変して、彼らは何故か「消費税率アップに反対!」などと口先でだけでは騙っている。

もしまた彼ら(立憲民主党)が政権与党に返り咲いたとして、「彼らは与党になっても野党時代の公約通り消費税率アップに反対するはず」などと一体誰が信じるのだろうか? いやない(反語)。


「普天間飛行場県外移設」もそう。彼らは政権与党時代には迷走の末、2010年5月に、「名護市辺野古周辺に移設する」とした政府方針を『閣議決定』している。民主党政権の最後までその方針は堅守されていた。

ところが彼らが野党に下野した途端に、この案件も例によって180度豹変して最近では「辺野古移設ハンターイ!」などと彼らは平気でうそぶいている。

TPP加盟も、元々は民主党政権が強く訴えていた政策なのに、野党に下野した途端に180度豹変して反対に回っている。

真琴「旧民主党の人達って、与党時と野党時で多数の政策の中身があまりにも180度豹変し過ぎでしょう。さすがにこの人達はちょっとおかしいんじゃないの?」

「ちょっと」で済む話なのかかどうかはさておき。
彼らは「与党時代と野党時代で一貫している主要政策」の方がむしろ少ないくらいで。

これだけ具体的な「実例」があるのだから、さすがに誰でもわかるだろう。

旧民主党(現立憲民主党)の彼ら(枝野議員や岡田議員等)の政策の本性は、与党(民主党政権)時代の物である。

もし彼らがまた政権与党に返り咲いて「現実的な責任」を負う立場になれば、与党(民主党政権)時代の本性を現すのは火を見るよりも明らか。

彼らの「万年野党時代の無責任な政策主張(インボイス反対)」など1ミリも信用できない事を、日本人は過去の経験からいい加減学ぶべきだろう。一体何度民主党に騙されれば理解するのか?



■結論

前述の通り、インボイス制度は既に「国際的な常識」であり「日本もデジタル後進国を脱却して国を挙げてDX推進する」為の主要な柱の一つである。

導入前(直前以外)に中止or延期、であれば「可能性はゼロではなかった」とは一応言える。

しかし日本も同制度を導入して既に運用開始している以上、「今からそれを全面撤廃する」ことのメリットはほとんどなく、数々のデメリットと比較すれば「今更全面廃止するのは非現実的で明らかな愚策」と断言できる。

そして旧民主党(現立憲民主党)の彼らの本性(2009マニフェスト)や今も続く「連合の意向」から考えても、結論は既に明らかではないだろうか?


ワイは自信を持って予言しよう。

【もし、たとえ立憲民主党が政権与党の座につくことがあっても、彼らがインボイス制度を今から全面廃止することなど『まずない』】

だろうと。

翔子「インボイス全面廃止の可能性は既に【実質ゼロ】と言える訳ですね」

ま、【政権交代すればインボイスは廃止できる!】などという【幻想】に騙される人はそもそもそんなに多くないだろう、とワイは考えているがね。