「へ、へびなんて、いないじゃないか・・・
ははは・・・」
鏡を手に取った一人の侍が、仲間の方を振り向いた瞬間。
「!!」
なにかが脈動しました。
地面の下から、何かが突き上げるような、感覚。
「じ、地震か!?」
-違う
「は、早く外へっ!!」
-逃がさない
慌てて外に出た侍たちは、いまだに手を合わせ続けている娘の姿に驚きました。
「き、貴様、まだお祈りなど・・・!」
「何かございましたか?」
「なにかも、なにも、今しがた、大きな地揺れが合ったであろう!?」
「私には、何も感じませんでしたが・・・?」
「な、ナンだと・・・?」
突如、大きな音をたてて、侍の持っていた鏡が、粉々に砕けてしまいました。
「うおっ!!?」
「きゃっ!?
・・・!あ、あなたたち、それは・・・っ」
娘は、驚愕の表情を浮かべ、割れた鏡を見つめています。
割れた鏡の破片から、白い煙のような、殺意の込められた何かが、にじみ出てきました。
それは、見る見るうちに空へと上っていくと、一面を覆うほどに巨大なものになりました。
「な、なんだこれは!!」
「は、早く隊長の元へ!!」
侍たちは、一目散に駆け出して行きます。
「あれが、しろへびさま・・・」
娘がつぶやくのを待っていたように、煙は少しづつ姿を鮮明にして行きます。
そして、言い伝えどおりの、大きな。
空を貫き、星々さえ飲み込めるほどの。
白い蛇が、姿を現したのです。