今回のお話は、夫の母の事です。

 

私と夫の母は、同じ病院でおせわになっていまして

受診している科は異なりますが、

夫の母の主治医(以降、町田先生;仮名)とも何度もお目に掛かって、

治療内容などの説明を受けています。

 

昨年の初発の際には、超高齢の夫の母ではありますが

その生命力に着目して下さり、

従来では断られても仕方ないはずの手術に踏み切って頂きました。

しかし、今回転移が見つかったのが二ヶ月ほど前。

同病院の別科の医師に診察して頂いたのですが、

超高齢なので治療はせず、緩和ケアを紹介するとの回答でした。

 

本人はこの先の厳しい治療も辞さない覚悟だったのですが

その回答に気落ちしてしまい、その意気消沈さが気の毒なほどでした。

 

そして右わき腹付近が痛いと言い出したのが数日前。

今回私が入院する前日辺りからでした。

夫の母は痛みを我慢できず、本日朝一番で近医を受診したのですが

直ぐにこちらの大学病院を受診するよう勧められて

電話連絡をすると直ぐに診てもらえました。

そして即入院。

 

肺に水が溜まっている状態です。

別科の医師から、もしもの場合の救命措置はどうしますか?と問われ

夫の返事は、「先生方にお任せします」でした。

 

同時に町田医師とのICがあると連絡を受けましたが

私は入院中ですので、他の病棟への出入りは禁じられています。

事が事だけに、私の主治医と町田医師に許可を頂き

ICに参加する事が出来ました。

 

すると町田医師から聞かされたのは、意外なお話でした。

 

この病院では80代以上の患者には積極的な治療はしない。

医療サイドのルールもがんじがらめで身動きが取れない。

だから積極的に治療をしてくれる病院に紹介するけれど

患者本人とその家族の意見を聞きたい。

との事でした。

 

てっきり、緩和ケアの紹介で終わるかと思っていましたが

まさか積極的治療の為の転院を勧められるとは!

この病院からさほど遠くなく、私も知っている病院でした。

 

夫の母も夫もこの話を聞いて涙ぐんでいました。

緩和ケアを勧めた別科の医師達と言い争いまでして

今回の転院を押し通したとの事でした。

 

このような強い意志で患者に手を差し伸べてくれる医師が

私どもに関わってくれた事は奇跡にも思えます。

勿論そこには、夫の母の年齢に見合わない生命力と体力、気力

その他の条件が重なっての結果だと考えます。

 

しかしながら、このように希望を持たせてくれる医師の存在

それこそ現在の私達家族には、とても尊い方としか思えず

ここに書かずにはいられませんでした。