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 23歳の女性が、こんな形で連行されるなんて、涙が出た。周庭さんが突然逮捕された。すぐに釈放されたものの、あの光景は目に焼きついている。それが中国政府の目的だったのだろう。そして起訴に向けて準備している。ではあの連行は何だったのか。しかも、今度起訴されると釈放なしだという。恐ろしい。

 

 五度目の逮捕となる周庭さんも、今回は一番怖かったと言っている。この言葉を引き出したことに、中国政府は満足しているのではないか。世界がどう思おうと構わない。香港人が恐怖を感じ、国内を引き締められれば、それでいいのだ。

 中国はウィグルにせよ香港にせよ、少しでも背後に外国の影が見えると「外国勢力と結託して反国家的行為を行なった」と言う。これは、アヘン戦争以来の屈辱の歴史があるからだろう。

 周庭さんの場合、日本語でも発信していたことが、さらに問題視されたのかもしれない。日本語もJpopも好きだという日本文化好きが、さらに難しい立場に追い込んだのかもしれないと思うと、何とも言えない気持ちになる。世界一政治的関心が低いと言われる日本の若者も、驚いたのではないか。

 

 しかし、今や外国と連絡を取るのは普通のことだし、中国はもう充分に強大な国になったのだから、こういう発想は止めるべきだ。強大な国がさらに強大になろうとすると、周辺国は脅威を感じる。

 

 そういうことを、全く意に介していないところが恐ろしい。余裕がないのか、何が何でもアメリカを超えて世界一の大国になりたいのか。無表情な習近平が、ここまでの強い野心と権力志向を持っていたとは。もはや第二の毛沢東だ。

 中国は内政上、色々と難しい問題を抱えている。豊さを求める人々は、やがて権利を求めるようになるはずだ。これをまとめていくのには、苦労もあるだろう。しかし強権支配はいつか行き詰まる。ウィグル人に対する弾圧は、ナチのユダヤ人弾圧と同じだ。

 

 こういう支配はいつまでも続かない。世界は中国を信頼することができない。少数派の文化を尊重した方が絶対に得策だと思うが、断固として認めない。その強権手法はひどくなるばかりだ。

 

 もともと中華文明は周囲を飲み込みながら、緩やかに拡がっていくという性質を持っている。しかし圧殺はしなかった。朝貢は支配ではない。しかし今の中国は、かつて中華文明が持っていた鷹揚さをかなぐり捨ててしまった。

 

 一帯一路政策も今や新植民地政策と化している。資金力で強い影響力を行使し、その国の国営企業を傘下に収め、文化を圧迫している。自分が主役にならなくては気がすまないやり方は、習近平の気性なのか。

 

 私はFacebookで、大勢の中国人と友達になっている。彼らはいい人たちだが、こと少数民族と香港と台湾の話題になると絶対に譲らない。ある友達は、「ウィグル弾圧は欧米の作り話。中国政府はウィグル自治区を近代化し、多くのウィグル人は豊かになって喜んでいる」と言う。対話が成立しない。

 

 イギリスを始め、今まで中国の経済力をあてにして人権弾圧に目をつぶってきた欧米先進国は、方針を変えるべきだ。オックスフォード大学までが中国に遠慮し、アーセナルはウィグル弾圧を批判したトルコ系のエジルを冷遇している。WHOが中国寄りなのは周知の事実だ。

 

 一方、中国批判の急先鋒がアメリカでは事態は変わらない。トランプのやりたい放題は世界のひんしゅくを買っている。そんなトランプが中国を批判しても、説得力がない。そこで本来なら日本の出番である。

 

 かつて中国を侵略し、戦後は平和国家に転身して欧米から信頼されてきた日本こそ、中国に助言するのに最適な立場なのだ。しかし、これがまたどうしようもないのである。安倍首相は大日本帝国の郷愁に取り憑かれ、中国が大国になったことを

認めたくない。

 

 地球儀俯瞰外交などと意味不明な外交方針で、世界をポケモンスタンプラリーのようにグルグル回り、中国包囲網を形成すると言って、国民の大切な血税をばらまいてきた。外交がまるでできないので、金をばらまく以外に能がないのである。

 

 しかし今の時代、中国包囲網など構築できるはずもなく、全て失敗に終わった。湯水のように使ったお金は、ドブに捨てたも同然である。そしてほぼ8年が過ぎ、何の成果も出せないとなると、今度は習近平来日による日中関係改善を最後の外交成果にしようと、コロナ対策まで遅らせた。

 

 しかし政権に癒着しているマスコミは、「中国包囲網はどうなったのか」と聞きもしない。平気で嘘をつき、前言を平然と撤回する安倍首相の虚言癖を、批判もしないのである。情けない。

 

 尖閣問題にしても、安倍政権はまともに中国と話し合ってもいない。外交努力を何もしないまま、敵地攻撃能力を持つなどと言っている。やっていることがめちゃくちゃだ。悪人顔で、旅行業界のドンとしてGoToキャンペーンをゴリ押しした二階幹事長が、一番の親中派だというのも複雑な状況だ。

 

 日本は多くの企業を中国に進出させている。13億の市場は魅力的だし、ユニクロの成功は中国生産のおかげだ。だが、言い換えれば日本は90年代以降、中国生産に依存することによって国内産業を空洞化させたのである。取り返しのつかない失敗である。

 

 こういう様々な問題を考慮しつつ、日本は長い付き合いをしてきた隣人として、中国と膝を付き合わせて話し合うべきだ。そして共に世界の平和と繁栄に貢献するため、軍縮と人権尊重を旗印にすべきなのである。

 

 日本は本気で中国と向き合い、少数民族や香港に対する弾圧をやめさせなければならない。それこそが真の友人というものだ。そしてそれこそ、アジアにおける日本の役割なのである。それでこそ、陰りが見える日本の国際的信用も再び高まるというものだが・・・・、安倍首相に、そんなことを期待しても無理。