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 あまり報道されないが、愛知県がオンライン学習にリクルートのスタディサプリを導入するというニュースが流れた。これは用心しなければいけない動きだ。

 

 いきなりオンライン学習をすることになって、学校現場が大混乱していることはわかる。オンライン学習は一朝一夕にできることではない。

 

 そもそも公立学校は、職員室に電話が二つだけというところも多い。欠席の電話を入れるのさえ、話し中で大変なのが実情だ。だからまず、学校と家庭双方のオンライン基盤整備が必要だ。そして何より大変なのは、教材作りと教師側の技術習得である。

 

 それを準備なしでいきなり始めることになったのだから、実際ほとんど出来ていない。少し前の数字だが、実施しているのは5%だということだった。そういう、オンライン学習などとても無理な状態であるにもかかわらず、安倍首相は金曜日にいきなり全面休校を発表したのである。無責任にも程がある。

 

 だから、既に仕組みが出来上がっている民間のオンライン学習を利用したい事情も盛る。しかし、だからと言っていきなりリクルートのスタディサプリを使うのはどうだろうか。過渡的な措置かもしれないが、一度導入したものを止めるのは難しい。

 

 というのは、リクルートは既に教育に深く関わっているからである、知っての通り、大騒ぎになった大学入試共通試験の民間導入はリクルートの子会社が請け負うことになっていた。

 

 今やリクルートは、公教育のど真ん中に座ろうとしている。安倍政権は市場原理万能の新自由主義だから、民間主導でいきたい。民間の導入が全て悪いわけではない。問題は民間の知恵や蓄積を使いこなすのではなく、民間が主導権を握ろうとしているのである。

 

 教育の根幹は公共性だ。しかし特に小泉政権以降、日本は悪しくアメリカ化して民間に傾斜し、公共性を破壊してきた。そういう社会で育った若い世代は、それを改革だと思っている節がある。それが過剰な競争をもたらし、社会も人間も疲弊を続けてきた。

 

 そして今、最後の聖域である教育が公共性を放棄しようとしているのである。オンライン授業は確かに難しい。ここは、それこそ教育委員会が音頭を取って、自治体ごとに教材を作っていくべきだ。その教育委員会がまたお粗末なのだが。

 

 取り敢えず、学校は焦ってリクルートに依存することをやめるべきだ。取り返しがつかないことになりかねない。マスコミもその点に留意すべきだし、保護者も大変だとは思うが、学校を一方的に批判しない方がいい。

 

 九月入学もそうだが、こういう混乱期にはどさくさに紛れて、時間をかけて議論し準備しなければならないことが、一気呵成に決められがちだ。それはとても危険なことである。特にリクルートには注意しなければならない。