いま我々国民が眼前にしているのは、安倍政権七年半の怠惰と無責任の縮図だ。こんなボロボロな政権が「やっている感」とアベノミクス詐欺で数々の不祥事を揉み消し、政治も行政も私物化してきたのだ。あらゆる数字を捏造してきたから感覚が麻痺し、コロナ禍についてまともな数字を発表できないのである。

 

 このお粗末対応は国の土台を切り崩し、社会を瀕死に導いているが。もう一つの深刻な影響は、日本人の誇りを粉々に打ち砕いていることである。世界で高く評価されてきた秩序意識と民度、近代国家としての誇りは木っ端みじんに砕けた。

 

 この影響は深刻だ。無責任な補償なき自粛要請で人々は追い込まれ、疑心暗鬼になり分断され、相互監視と自粛警察が社会を覆いつつある。そのうち安倍首相は「自粛がうまくいかないのは国民のせい」とばかりに、緊急事態条項に手をつけようとするのではないか。

 

 日本はいい国だ。多くの日本人はそう思ってきた。世界一だと自画自賛まではしなくても、次に生まれてくる時も日本人がいいと、多くの人が思ってきたはずだ。祖父母や父母たちが敗戦の焼け跡から立ち上がり、汗水垂らして働きながら作ってきた国なのだ。

 

 多くの国民がそう思える国は幸せである。そんな先達の努力と国民の思いを踏みにじって、この7年半、安倍政権は政治と行政を私物化してやりたい放題やってきた。そして大企業や富裕層は、アベノミクスが詐欺だと知っていながら、楽して儲かるからと安倍政権を支えてきたのである。官僚たちもまた、忖度して出世する道を選んできた。

 

 今も一部上々大企業の正社員は、コロナ禍の影響を大して受けていない。「この夏はボーナスが減るかも」という程度である。雲の上の特権層たる政治家や、その頂点にいる安倍首相には他人事なのである。

 

 ある元官僚が見事に言い当てていた。「安倍首相と側近、閣僚たちは、この問題に本気で取り組んでいない。そのうち何とかなるだろうと思っている」。驚くべき話のようだが、それが真実だと思う。そういう人間たちが7年半、日本を支配して甘い汁を吸ってきたのだ。

 

 中国や韓国へ反感から安倍政権を擁護している人がいるが、勘違いしている。日本を壊しているのは安倍政権への批判ではなく、安倍政権それ自体なのだ。日本人の誇りを返せ!