終電の美女 | もの申すブログ

終電の美女

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終電の美女

その晩、たいして飲んでもいないのに、ぼくはひどく酔っていた。仕事の疲れや寝不足が原因かもしれないが、まあそれはどうでもいい。

要は帰りの電車で、つり革をつかんで立ったまま寝ていたのだ。

ふと視線を感じて目を開けると、座っている女性が心配そうにこちらを見ている。あろうことか、彼女は腰を浮かして、ぼくに話しかけるではないか。

「あのお、座りますか?」

ぼくは丁寧に謝絶すると、気をしっかり保った。やがて車内は徐々に空き、ぼくは彼女の正面の席に座った。

ぼくが降りるひとつ前の駅で彼女は立った。思わず目が合う。

「ありがとうございました!」

ぼくが声をかけると、彼女はニッコリ微笑んで降りて行った。

これだけ。何のオチもない。ただ、これだけは言える。

人生、まだまだ捨てたものではない。