追悼・平井和正さん | もの申すブログ

追悼・平井和正さん




SF作家、平井和正氏が亡くなった。享年76歳。まだ若いのに。

狼男、ウルフガイシリーズは少年が主人公の「狼の紋章」、「狼の怨歌」だけは読んで、非常に面白かった記憶がある。主人公が大人のやつも結構な数でていたと思うが、そちらは未読。

幻魔大戦は数冊で挫折。全巻読破した妹に言わせると、最後は宗教(後述)の世界そのもので、わけがわからなくなっていたそうだ。

SFという、世の中のあらゆる価値を相対化できるジャンルにいながら、善と悪の二元論にはまってしまわれたのは、誠に残念だった。ありあまる才能の浪費としか考えられない。

オウム真理教、幸福の科学、パナウェーブ研究所(あざらしのタマちゃん騒ぎで有名になった)...これらの宗教団体の共通点は教祖が一時、GLAという教団に身を置いた(パナウェーブは違うという説もあるが、大きな影響を受けていることは間違いない)ことである。

このGLAは高橋信次という人が創立したのだが、49歳で亡くなり、娘の佳子さんが教祖を継いだ。確か20歳!だったと思う。この佳子さんが真・創世記というベストセラーを出したのだが、これのゴーストライターが平井和正氏であったことは平井氏本人も認めていることだ。ただ、その詳細ないきさつについてはついに公にならぬままこの世を去ってしまわれた。

この世界観(天使と悪魔の対決、選ばれた戦士が戦う、輪廻転生...)は、先ほど名前を挙げた宗教団体に甚大な影響を与えた。つまり、間接的に平井氏の功罪と言うか、はっきり言って罪の方が大きいと思う。オウムだけを例にとっても、それは十分言えることだ。

私がなぜこんなにGLAに詳しいかと言うと、親が入っていたからである(笑)。子供ながら、私も講演会などのイベントに顔を出した。しかし、佳子さんの代になってから、そのぶっ飛び路線について行けず、脱会してしまった。まあ、高橋信次さんも相当とんでもなかったけどね。

宗教以外の話をすると、高橋留美子の「めぞん一刻」に平井氏がはまり、ブックレットに原稿用紙200数十枚だったかの熱い文章(ファンレター)を寄稿したことを覚えている。同じくファンであった私から見ても、その文はとても共感できるものであった。

ところが、あるエピソードを境に平井氏は激高し、めぞん一刻から離れてしまう。それは、主人公の五代がソープランドで「初体験」したことが気に入らんというのだ。清らかなめぞんの世界に汚らしい商売女を持ち込んで...と文句タラタラの文章が雑誌に載った。こちらの文は大人げないなというのが、私の感想であった。

これは男によって考え方は違うのだろうが、私の感覚では風俗へ行くことと、響子さん(ヒロイン)への純愛は全然矛盾なんかしない。「技術面」をプロで学んでいるだけのことである。響子さんの背景(これから漫画を読む人のために秘す)を考えても、初めて結ばれる時に五代が童貞なのはちょっと...と思うけど。まあ、こういう話はこのへんで。

そうそう、オカルトのことで思い出した。平井和正さん、「自分が狼男だ」と名乗る男が現れ、それを信じて雑誌で対談とかやっているのね。それで、平井氏はヤバイ人だという認識が広まり、社会の第一線から事実上消されてしまっていた。ついに自分の創作と現実社会の境界線が崩壊してしまったのだ。

よくも悪くも一時代を作った方であることは、間違いない。あなたの後始末、残された我々が(できる範囲で)がんばります。

ご冥福をお祈りします。おつかれさまでした。