ちょっと懐かし昭和の思い出話
(サブタイトル)
田舎に住んでいると、色々な野生動物たち
と遭遇することができる。キツネ、タヌキ、
イタチ、ツチノコ?数えればきりがない。そ
いつらは、普段人間に対しては無関心である
が時々悪さをする。
キツネは、家の近くの畑に育ったスイカを
荒らしに来たり、家畜を狙ってきたりする。
それも夜も更ける頃に叫びながらやってくる。
知らない人は、キツネというのは、「コン!
コン!」とか「ケン!ケン!」と鳴くのだと
思い込んでいる人が多い。
しかし、実際のメスギツネの鳴き声は、オ
ゾマシイ。
「ギャーー・・。ギャーー・・。ギャーー
・・。」まさに断末魔の叫びの如く、地獄の
死者がやってきたかのように、家の周りを徘
徊するのだ。キツネに違いないと解っている
のだが、幼い私は外に出て追い払うことがで
きなかった。私だけではない。母も気持ち悪
がって、そのうめき声ともいえるような、叫
び声が遠ざかるのを息を殺し、じっと待って
いた。そいつが、どこかに行ってしまうまで
寝付くこともできはしないのだ。
「近所のおばさんが、キツネに化かされたら
しい」とかいう、実しやかな噂話も後押しし
てキツネの存在は、圧倒的なものであった。
(続く)