蛍のはなし | 意地に生きるも男の本懐 なんてね

意地に生きるも男の本懐 なんてね

意味はほとんどない・・・ひとりごと

ちょっと懐かし昭和の思い出

     (サブタイトル)



梅雨に入るころには、蛍の乱舞が

始まる。蛍は、8時過ぎくらいに

なると山から続々と川に向かって

お舞い降りてくる。その黄緑がか

った蛍光色の光を、規則的にまる

で機械のように時を刻みながら点

灯する。



 蛍には「源氏ボタル」と「平家ボ

タル」の2種類がある。本当はも

っと種類があったのかもしれない

が、教えてもらった記憶ではこの

2種類しかいなかった。体が全体

的に大ぶりで、ふてぶてしい体系

であるのだが「源氏ボタル」、控

えめで少し弱弱しいのが「平家ボ

タル」である。8時を過ぎるくら

いの時間になると、まるで山の妖

精であるかのごとく、我がもの顔

に里に舞い降りてくるのだ。山の

どこにいたのかは、全然知らない。


 しかし彼らは、毎日決まった時

間になると山から舞い降りて乱舞

を始めるのだ。一匹、一匹と知ら

ぬ間に増えてくる。ふと気がつい

た時は、あたり一面蛍の世界と変

わる。


 降りてくると言っても、どこに

でも舞い降りてくるわけではない。

ちゃんと川沿いに列を作るかの様

に乱舞する。水を求めるのか、何

か理由があるのかは分からないが、

すべての蛍は、川を目指してやっ

てくるのだ。


 蛍を捕まえるのは、網は使わな

い。普通は竹ぼうきを使う。たく

さん飛んでいるあたりを、竹ぼう

きでそっと「ひとかき」するので

ある。「ひとかき」すると3,4

匹の蛍を捕獲することができる。

捕獲したホタルは虫かごに、濡ら

したヨモギの葉っぱと一緒に入れ

る。手に取った蛍は、何とも言え

ない青臭いような匂いがする。そ

して虫かごいっぱいの蛍は、家に

持って帰り、家の庭先で一気に放

すのである。


 まるで自分の家から旅立つよう

な光景に見入って、自己満足に浸

るのである。


 そんな蛍が一番綺麗に乱舞する

時間は、8時から9時くらいだった

と記憶する。土曜の夜、母に「蛍

を見に行こうか?」と誘われて、

蛍は見に行きたいが「8時だヨ!

全員集合」も見たい、と私の心は

大きく揺れた。当時、ビデオなん

か存在もない時代である。蛍は大

好きだがテレビも見たい・・・。

ウーン・・・。


 そして私が、ドリフターズを選

択したことは言うまでもない・・・。