こっからは余談みたいなもんで、スルーしてもらってもいい。
警察からなんやかんや聞かれたうえで宿の連絡先を教えて、俺らは帰された。
あとでニュースを見たら、大阪のおっさんが九州で殺した学生をその山に埋めた
ってことになってた。
その後、地元に戻ってから、新聞にこの事件のことがのってたんで読んだ。
おっさんは、九州で女を殺したあと死体をバッグに詰め込んで、大阪まで新幹線
に乗って移動してレンタカーで山へ向かい、そこで死体を埋めたらしい。
この記事を読んでまたゾワッとした。
死体が見つかる2週間くらい前、俺らがあの山で仕事し始めた頃のこと。
山の奥に入る林道の入り口にあるゲート(一般の車が入らないようになってる)
の前に車が停まってて、横におっさんがボンヤリ立ってた。
車が通るのに邪魔だったんで、助手席のじいさんが降りておっさんと話をして相
手の車を脇に寄せさせた。
その際、かなり長い間喋ってたんで、戻って来たじいさんに「なに話してたの?」
と尋ねた。
「おっさんがさ『車で入れないか?』って聞くから『ここから奥は仕事する人以
外は通っちゃダメなんだ』と言ったらさ『大事なものを運ばないといけないから、
ここへ車を停めて歩いて行く』って言うんだよ。『乗せてってやろうか?』って
聞いたんだけど『約束だから一人で行く』ってさ。こんなとこで誰に会うのかね」