俺、山で仕事してるんだけど、今まで一番ゾワッとした話でさ。

何年か前、大阪と奈良の境にある山で間伐の仕事してたんだ。
ろくに手入れしてない山だったからツルとか巻き付いてて、それを手ノコでバラ
したりして大変な現場だったんだけど、ある場所でチェーンソー使ってたら人の
声みたいなのが聞こえた。
でも、チェーンソー使ってる時って結構そういうのがあって、あれは音の周波数
の関係だって言ってたっけ。

それはともかく、その時はなんか気配みたいなのも感じて後ろを見たんだけど、
別に何もなかった。
だけど、そういう気配というか違和感みたいなのはその日の作業中ずっと背中に
貼りついてた。
仕事終わって道端で着替えしてたら、一緒に働いてるじいさんが話しかけてきた。
「今日結構チェン止めてたけど、調子悪いのか?」

「いや、なんとなく後ろが気になってさ。気配っていうかさ、なんか変な感じ」
「ふーん。いや、俺も何となく誰かに見られてるような感じがしてたんだけどな」
なんだ、じいさんもかよ、あそこ何かあるのかな~とか思ったけど、その後は別
に何事もなくて、山を下りて宿に帰って普通に飯食って寝た。
で、翌日。

別の現場の仕事を終えて車で山を下っている途中、道端に車が何台も停まってる
のが見えた。
パトカーも混じってて、何だろと思ってスピード緩めたら止められて職質された。
何でも、俺らが昨日働いてた現場近くで女の死体が発見されたとのこと。
昨日のことはその時点まで忘れてたんだけど、警察から話を聞いて思い出して、
まずゾワッとした。