しばらく獣道を進むと、突然、その子の姿を見失った。
スーと木陰に消える様な感じだった。

おれたちは、その子が消えたあたりを探したが、見つからない。
そしてもう少し先に進むと、獣道のわきに電信棒が建っているのを見つけた。
電信棒は木で出来ていたが、もう根元は腐っていて、しかも電線は通っていな
かった。

そして、その電信棒より先に古びた瓦葺の家があった。
おれたちはビビリながらもその家に行ってみた。
玄関の戸は半開きの状態で傾いていて、中は、腐った天井の隙間からさし
込む光で、薄暗いようだ。

半開きの戸から中を除くと、そこはいまにでも朽ち果てそうな家で、土間
から先に部屋が見えたが、そこには倒れた家具や、傾いたちゃぶ台があっ
た。生活の感じられないその家を見て、おれらは怖くなって、あわててそ
の場所から逃げ帰ってきた。

おれたちはその後、大人にあの場所のことを聞いたが、それによると、
あそこはナガレバサンという集落で、もう数十年以上昔から人が住んで
いないとのことだった。