もう6年ほど前のことです。

我が家は賃貸アパートで、
ベランダの前の庭にそれぞれ車を停めています。
お隣に越してきた方の車は、
古いワゴン車だったのですが、どうも気になる。

昼間、ベランダで洗濯を干している時も、出かけようと家の外に出た時も、どうもその車から視線を感じる。
反射的にそっちを見ると、誰も乗っていない。
でもいつも、誰かが乗っているような気がするのです。

子供たちが気味悪がると良くない、と思い、誰にも言わずにいたのですが、ある時その車がいたずらされてドアを壊されてしまったのです。
それをきっかけにお隣りは車を入れ替えました。

その後しばらく経って、何かの時に私が「前のお隣りの車って、 いつも誰かが乗っているような気がしていた」
と家族に言ったところ、当時小学生だった娘が
「うん、乗ってたよおじさんが」と言うではありませんか。

さっと寒気がしましたが
「どんな人?」と更に聞いてみました。
娘によると、そのおじさんはいつも運転席におり、
ハンドルに手をかけてこちらを見ていたそうです。
怖くなかったのかと訊いたら、車を降りてきたことは一度もなく、いつもそこにいるだけだったので怖くなかった、とのこと。

更に
「多分、お隣りはお父さんがいないでしょ、 だからお父さんだと思うよ、あの人」
とも。
確かにお隣は奥さんと
大きくなった息子さんの二人暮らしでした。

ご主人はどうしたのか、と聞くほど仲がいいわけではなかったので、今もわかりませんが、
考えて見ればつじつまが合いました。
その後、息子にも隣のおうちの車に何か変な感じがしなかったかと聞いてみたところ、
やはり彼もなんとなくいつも
誰かが乗っているような気がして嫌だった、と言っていました。

もう引越ししてしまったので、何もわかりませんが今も同じ車が走っていると思い出します。