知り合いの話。

子供の頃、学校の裏山で一人遊んでいると、鶯の声が聞こえてきた。
恐らくは巣立ちしたばかりなのだろう。
まだ囀りが下手で、最後まで上手く通して鳴けていない。

「ふむ、まだまだ下手っぴいだな」

生意気にもそんなことを考えていると、一際大きな鳴き声が林に響き渡った。
比べものにならないほどの見事な鶯の囀りだ。

下手な鶯が鳴いた直後には必ず、上手い鶯が続けて鳴いている。
まるで手本を見せて、指導をしているかのようだ。
やがて段々と、下手な方の鳴き方が上達して行くのがわかったのだという。

「へぇ鶯も勉強とか練習とかするんだ。学校みたい」

囀りの先生は、どうやら近くで鳴いているらしい。
どんな鶯だろうと辺りを探してみた。

声のする方を探していると、まったく予想外の奇妙なモノを見つけてしまう。

少し離れた木立の中、そこの枝に小さな老爺が腰掛けていた。
昔話にでも出てきそうな、真っ赤な頭巾と落ち着いた色合いの着物姿。
シワシワの顔は気難しそうだが、どことなく優しそうでもある。