山仲間の話。

サークルのキャンプに参加した時のこと。
一人だけ遅れて来ることになり、初日の夜に宿営地で合流することになった。
しかしいつまで経ってもそいつが来ない。
山慣れた奴だし、あまり心配はしていなかったのだが、そろそろ日付が変わる
刻限になると、流石に何かあったかと皆が不安になった。

結局、日が変わってからかなり経って、そいつはキャンプ地に到着した。
「何やってたんだ、心配したぞ」
そう声を掛けたところ、こんなことを言い出した。

「いや、予定時間通りに着くよう、ちゃんと出発したんだよ。
 途中で壊れかけた外灯が灯っている所があるだろ。
 そうそう、点滅しているあそこ。
 そこに差し掛かった時にさ、見えたんだ。
 前方の外灯の下に、襤褸を纏った女の姿が」

「こんな遅い時間に、こんな山道に手ぶらで突っ立ってる女っていうのは、
 そら真っ当な女だと思えないよな?
 だから立ち止まって遠くから様子を伺っていたんだけど… 」

「それで気が付いたんだ。
 その女な、時々消えてた… いや物の例えとかじゃなくて本当に。
 外灯が点滅してパッと灯る度に、道の上に姿が現れたり消えたりしてたんだ」