知り合いの話。

幼い頃、山中の棚田で大きな地鼠を見つけた。
石を拾って投げ付けていると、お祖父さんが駆けよってきた。
「追い払うのはいいが、ぶつけたりして無用な殺生はするんじゃないぞ」そう注意された。

「こんな山奥の田圃で過ぎた殺生しちまうとな、アッケに罹ってしまうんだ。
 この病いに罹ると全身の穴から血を噴きまくって、最後には手足や顔までグズグズに溶けて崩れ死んじまう。
 山田の神様の障りかもしれん」

「ネズ公は自分たちが追い払うから、お前は近よらなくていい。というか近よるな」
祖父はそう言って、彼の頭を撫でてくれたという。