知り合いの話。

祭りの準備で、山中の神社から太鼓を借りることにした。
世話会の仲間二人で引き取りに行ったのだが、かなり大きな太鼓で、倉庫から出すのが一苦労だったという。

軽トラの荷台に乗せて一息ついていると、いきなり太鼓が鳴った。
ドンッ!と一回だけ、しっかり響く音を出して。

びっくりしていると、神主さんが笑いながら言った。
「どうやら君たちは気に入られたらしいね」

「僕らが一体、誰に気に入られたっていうんですか?」と聞き返したが、
「太鼓だよ」と返事はそれだけ。

ニコニコとした笑顔を見ていると、なぜかそれ以上は詳しく聞けなかった。
取り敢えず祭りが終わって神社に返すまで、丁寧大切にその太鼓を扱ったのだという。