友人の話。
祖父の手伝いをして、実家の山にある竹林で竹を切っていた時のこと。
何本目かの竹を鋸で切り倒したところ、節の中から灰色の影が飛び出した。
そいつは地面に飛び降りると、そのまま山の奥へ走り去った。
あまりにも素早かったのではっきりとは確認できなかったが、二本の足で
走る小さな人型に見えたそうだ。
驚いている彼に祖父が笑いかけた。
「かぐや姫を見つけたか。運が良いな」
聞いてみると、ここの竹の中には、時たま何かが潜んでいるのだという。
竹から出てくるから『かぐや姫』と冗談めかして呼んでいるらしい。
「見たところで別に、良いことも悪いこともないから気にすんな」
祖父はそう言って、仕事を続けるよう彼に促した。