雑司が谷らしい。塀に沿って進むうち、その向こうは墓所であることが分かった。

ちょっと気味悪いな、と感じながら足早に歩くと、
突然私の脇を子供が通り過ぎた。
黄色いパジャマを着ていた。

この寒空に、などと感じる暇はなかった。
その子供は、塀の中に吸い込まれるよう消えたのだ。
私は声こそ出さなかったが、恐怖のあまり駆け出していた。

ようやく広い通りに出て、運良くタクシーを拾うことができた。
運転手にちょっと話を振ると、年末は忙しくて、幽霊なんか見る暇も無いとのこと。