友人の話。
祖父と一緒に茸狩りに出掛けた時、見たことのない茸を見つけた。
採ろうと手を伸ばしたところを祖父が止める。
「それはコシクダケって呼ばれている茸だ。
大層美味いというが、食べると呼び名通り腰が抜けて動けなくなる。
捨て置け」
手を引いた彼を見ながら、こう付け加えた。
「聞いた話では、昔はこの山に住んでいた女が、人を捕るのに用いていたらしい。
迷い込んだ者にこれをご馳走して、逃げられなくなったところを捕まえていたんだと」
山に住んでいた女?
「山姥。大昔はこの山にも棲んでいたらしく、何人も獲られたって聞いた」
祖父は平然とそう答えたという。