「えっ、このご時世に提灯?」
虚を突かれた。
一瞬言葉に詰まり、ようやっと「 …あの」と声を掛けた途端。

提灯は地面に落ちて消え、次の瞬間、辺りは闇に包まれた。
目が闇になれる頃、ボロボロになった提灯が、地面に転がっているのがわかった。
それを掲げていた人影は何処にも見えない。

拾い上げてみたが、とても火を灯したりなど出来ない程の痛み方だった。

「どこのどなただかわかりませんが、ありがとうございました」
取りあえず丁寧に礼を述べてから、作業を続けたのだという。
その提灯、どうしたんですか? と私が問うと、
「ちゃんと持って帰って、きちんと燃えるゴミの日に出したよ」
あっさりとそう答えた彼だった。