知り合いの話。
山間の棚田に雀脅しの設置をしていた時のこと。
雀脅しとは、カーバイドと水からアセチレンガスを発生させ、それを爆発させて大きな音を出す爆音機のことだ。
タイマーを利用して火花を飛ばすのだが、確認のため試しに動かしてみた。
パコォォーーンッ!
炸裂する大きな爆音が谷間に響き渡る。
と、すぐ背後でドサッと何かが落ちる音が聞こえた。
驚いた猿でも木から落ちたかな。振り返って見る。
白い人型が地面の上で腰をさすっていた。しかし明らかに猿でも人でもない。
身体の彼方此方に、色々な顔付きをした、大小様々の顔が付いていたのだ。
至る所の口から「痛てて」「痛てて」と連発しながら、頭の部位にある一番大きな顔が恨めしそうな表情で彼を見た。
言葉を無くす彼を見ているうち、どの顔もやれやれと言った苦笑いに変わり、ゆっくりと立ち上がってから森の奥へ姿を消したという。