「こりゃぁ、あの土地に呼び寄せられてるな。おいで~~、おいで~~って、手で招いてるみたいだな。たぶん馬場君も魅いられていて、俺たちを引き摺り込む手先になってるんだよ。何が危ないかって…そりゃぁ最も用心が必要なのは、行き帰りの車の運転だな。簡単に体を切り刻むとしたら、交通事故がいちばん手っ取り早い……」

そう話しながら、私は安全運転に集中しました。助手席の茅野君も真顔です。
ときどき助言をしたりして、彼自身もハンドルを握っているつもりで注意を払ってくれました。

馬場君宅に近付くにつれ、緊張感が高まりました。
茅野君も同感のようです。

彼の言葉を借りると、「敵陣深く乗込んで行く…てぇのは、映画だとわくわくするんだが…。違うんだよなぁ。背筋がぞくぞくするのは同じなんだが、緊張感がすごいね。神経がバリバリに張りつめてる。ずっと、鳥肌が立ちっぱなしだよ」といった感じでした。

そして、もう2・3分で到着…というところで……通行止。
工事中につき迂回せよ…とのこと。

「ありゃぁ。よりにもよって、こういう時に工事しなくても…」

茅野君は不平を言いましたが、こういう時にこそ、こういった障害が出てくるものなのです。

「コの字型の迂回路が書いてあるよ。注意して行こう」

私は矢印のとおり、ハンドルを右に切りました。